丁寧に描かれた和風ファンタジー
★★★☆☆
雑誌「なかよし」で同名・漫画化されている作品の第一巻。
主人公ルナが平穏な生活を離れ、妖界ナビゲーター=妖界ナビとして
旅立つまでのお話です。
主人公ルナは、食べることが大好きな小学三年生。
両親の顔も知りませんが、明るく優しい性格で皆から好かれています。
小さい頃は仲の良かった友だちが、なぜか最近冷たいことに心を痛めて
いますが…
そんな日常に突然降ってわいたような事件とは?
漫画を先に読みましたが、ほとんど違和感はありません。
文量も多くはなく、大人が読めば1日で終わる程度です。
丁寧な文章で、まわりくどい言い回しもなく、大変読みやすく感じます。
優しい表現に反して痛々しい描写が多いので、苦手な方には注意が必要
かも知れません。
自分の素性を知らないはずのルナが突然力を発揮したり、タイミングよく
アイテムが出てきたりと、現実的に傷つくかと思えば都合よくお話が進ん
だりで、その落差は気になりました。
今後ルナと道中と共にする妖怪スネリともっけ、一巻では名前だけですが
都和子先生といった重要キャラも登場します。
まだまだ導入といった感じですので、今後の展開に期待します。
妖怪「家なき子」
★★★★☆
児童書の中では、それなりに大人が読めるレベル。
ハリー・ポッターやらバッテリーやら、大人でも読むのが面倒なものよりは、こちらを進めたいです。ただ主人公ルナの立場や人生は凄惨で、子供にはつらい残酷描写もあるので、ある程度は善悪の判断がついた年頃の子供〜が理想でしょうか。
そこさえ気をつければ、戦闘描写もシンプルながら考えられていますし、訴えかけてくるテーマは切実で重く、心に残ります。
そのへんのライトノベルよりは普通に良作。少なくとも作者の真摯な姿勢が見えて好感です。
オリジナリティは?
★★☆☆☆
半妖といえば「犬夜叉」。第三の目といえば「遊戯王」を思いつく。
加えて流行の陰陽師テイスト。超能力。伝説の子。こどもが好きそうなものがたくさんつまっている。
狙っているのはわかるが、一巻を読んだ時点では人気漫画などのおいしいとこどりに終わっているように思う。
妖界に魅力を感じる。どんなところかもっと知りたい。