富田靖子という逸材
★★★★★
この映画で麦子を演じる富田靖子はほとんどセリフを喋りませんしほとんど表情を変えません。
でも彼女はその存在感と魅力的な「目」で私たちを惹きつけて離しません。
この映画の麦子役は富田靖子以外には考えられません。今の女優さんで同様の存在感を出せる人はいないでしょう。
ともすれば陰湿になりがちな題材を、市川準監督は独特の感性でカラッと描いています。
そこには押し付けがましい感動ストーリーもありきたりなラブストーリーもありません。
でも今の日本映画には無い「何か」があります。クライマックスでの演出は実に見事です。
エンドロール中に映し出される、オフショットと思われる富田靖子の様々な表情と思いっきりの笑顔を見たとき、何だか全てが救われたような気がしました。
私は昔この映画を映画館で見て大変印象に残り、今回DVDで見て前回以上に感動してしまいました。
何度でも見たくなる映画です。DVD買って良かったと思いました。