一級の経営指南書
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現在の日本の林業を取り巻く環境について、私は細々と説明する立場にはない。
ただ一点、日本の林業を再生させるのは森林組合しかない、ということである。
そこで国は、本書のテーマでもある「提案型集約化施業」という方法で、間伐面積を拡大させ日本の山の再生を図ろうとしている。
とは言っても、これまで補助金や公共事業で食ってきた森林組合がほとんどであり、民間事業体並みの営業活動や経費計算を伴うこの施業を即座に実施、成功させることができる組合は限られている。
では、どうすればいいのか?その方法について書かれたのが本書である。
著者は本来経営コンサルタントであり、決して林業支援が本職ではなかった。
しかし、本職ではないが故に、森林組合の持つポテンシャルの高さを客観的に評価し、
その可能性を伸ばそうとする前向きの気持ちが伝わってくる。
「カンどころ」というタイトル通り、組合職員が日々ぶつかるであろう様々な課題に対して、具体的かつ親切なアドバイスに満ちあふれている。また、組織運営やモチベーションなどにも触れ、林業関係者以外への示唆も豊富だ。林業、森林組合という一業種を切り口にした、一級の経営指南書と言っても過言ではないであろう。
あらゆる業界に通じる好著
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本著は、現在の林業界の現状を踏まえ、林業事業体が生き残っていくための「提案型集約化施業」の取組みを詳細かつ実践的にまとめられたものです。
従来のやり方や考え方を変えることの必要性、組織的な取組みとその体制づくり、製造業の考え方を応用したコスト把握など、著者がこれまで実践の場で愚直に取り組んできた具体的なノウハウが余すことなく掲載されており、経営トップから現場技術者まで林業に携わるあらゆる人に役立つ内容になっています。
また、林業再生を進めていくには、古い船(旧来の体制・組織・ルール・システム)でなく、新しい価値観を持った新しい水夫(職員・現場職員等)が、思い存分活躍できるためめの組織や土壌(新しい船)が必要であるという考え方は、林業界のみならずあらゆる業界に通じるものです。そういう意味では、林業に関する本でありながらも新しい取組みを始めるあらゆる業界の企業にとっても非常に参考になる1冊だとおもいます。
今までなかった切り口
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これからの「林業」は待ちではなく攻めでいく必要性とその背景、そして具体的な方法が書いてあるのが本著である。
営業のルールとか仕事の時間のつくり方といった個人的なものから、やはり組織として動くためのきっかけも載っている。
組織体制という点では、トップダウンが一番の近道とあるとおり、経営層からプランナー、現場まで幅広く読ませる1冊だと思う。