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M&A最強の選択

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日経BP社
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これだけ読んではダメだろう ★★★★☆
弁護士の無難な法律解説はあまたあるが、本書は、実務家が日本という前提で事案を解説していくもの。最初のDD関連部分の説明などは、どうかな(あってもいいが)と思うが、あとの部分の具体的なケースについてのコメントはなかなか面白い(MBOは資金返済のため再公開が前提といった割り切ったコメントは重要である)。税務や会計、関係法規の細かいことは期待してはダメ。また、M&Aの宿命というべきか、敵味方好き嫌いがきまってしまい、同じようなことをやっていても、嫌いなやつのことはぼろくそに書き、身内については絶賛するのは、あまりいただけないので☆4つ(でもアメリカのこの点の本よりまし)。
服部M&A理論を理解するために熟読すべき名著 ★★★★★
服部三部作の最新版。マルチプルによる株価算定に関する服部M&A理論はここにある。「典型的な日本企業のマルチプルはだいたいこんな感じ、WACCもこんな感じ」っていう説明の仕方は、『なんて適当なんだろう。』って違和感を覚えるかもしれないが、その倍率やWACCを念頭において、実務の現場に臨んでみると、なんと「いい塩梅」に株価が算定されることか驚かされる。服部氏の長年の実務家としての経験から「身体に染み付いた」株価の感覚なのであろう。実務家の感覚は、ファイナンス理論よりも妥当な結果を導くことが多い。

また、敵対的買収防衛策の説明も充実している。服部M&A理論を理解して、以下のように思った。

防衛策が議論されるときに、「企業価値の最大化に資する買収提案」があ〜だ、こ〜だと議論されるが、「企業価値の最大化」の意味が曖昧すぎて、世間一般の人達はちゃんと理解できていない。売り手側にとっての「企業価値の最大化」とは、いま保有している株式が最も高く売却できることである。会社そのものが将来成長しようが価値が高まろうが、株式を売ってしまった後は買い手側の問題であろう。

経営者や従業員に対して“敵対的”な買収を実行したスティール・パートナーズが、仮に買収に成功して株式を取得したとしよう。その後、経営者や従業員の反発によって企業価値が高まらず、株価が下落したとすれば、その損失を被るのは、まさに株式を保有するスティール・パートナーズ自身なのである。それでも敵対的に株式を買い取りたいというならば、いいではないか。売り手側は、「企業価値の最大化」すなわち自分が保有する株式が高く売却できることだけを考えれば十分である。短絡的に買収を阻害するのではなく、スティール・パートナーズの提案する買収価格をいかに吊り上げるかに注力すべきであろう。

日本の経営者はその点を理解しているのか。

MBOが企業価値向上に資するスキームって言っても、その企業価値は買収者の一人である経営者と資金提供する投資ファンドが保有する株式の価値を高めて転売時のキャピタル・ゲインを増大させるだけの話しであろう。つまり、MBOの際に売り手となる既存の株主にとっては、何ら無関係な話しである。むしろ、「今のままでは株価は、これ以上、上がらないので、高いプレミアムを付けてくれる投資ファンドに売ってしまいましょう。これは最後のチャンスですよ。」って言ってくれたほうが、まだ理解しやすい。

とかく「企業価値の最大化」って曖昧な言葉を振り回す日本の経営者が多いが、やめてほしい。「誰が持っている株式の価格を高めるのか」、その点を明確にして話しを進めてほしい。
ライブドア対ニッポン放送事件の本質がわかる良書。 ★★★★☆
M&Aの専門家の著書だけあって、本質がずばり書かれてあります。
実際に最近起こったM&Aの事例を使って説明しているので、わかりやすい。
特に、ライブドア対ニッポン放送のM&A対決については、マスコミが全く報じなかったライブドアの本当の目的がわかり、目からうろこでした。
ただ、はじめの章では数式を使った専門的な金融工学っぽい内容なので、ほとんど理解できませんでした。
だから、この部分がわからないなら飛ばしてどんどん読んでいくのがいいと思います。
面白いのは、数式よりもM&Aの論理だから。
最近のM&A案件や法制度に対するかなり高度な批評 ★★★★☆
読むならやはり今が旬だと思います。
最近世間を騒がせたM&A案件や、新会社法を含む現在の法制度に対するかなり高度な批評が展開されていて、個人的にはただ感心するばかりで、M&Aのアドバイザーとは本来このレベルまでの助言ができなければ価値はないのではないかと思いました。
企業価値評価に関しては、細部に固執するばかりでなくこれまでの実証研究などからおおよその勘所を持っている。買収防衛策に関しては、法制度を十分に理解したうえであらゆる選択肢を想定し、本当に何が効果的なのかを議論することができる。M&Aにより売り手も買い手も株主価値を増大させることができるかどうかということに主眼を置いている。などなど・・・。M&Aアドバイザーはかくあるべきというのを思い知らされた一冊でした。
元実務家の研究者によるM&Aに関する最新の理論と経営指南書 ★★★★☆
かつて大手証券会社にてM&Aアドバイザーに携わり、現在大学院にてM&Aの研究・評論活動を行なっている著者による日本のM&Aに関する最新の理論と経営指南書。

日本にもLBOブームが現実のものとなっていることを前提として、日本企業が財務的買手の餌食とならないため、これまで以上に株主価値重視の経営姿勢が重要が求められており、そのための選択肢としてM&Aがあるが、それはあくまで選択肢の一つであるものの、慎重で合理的な判断と定量的な規律に基づかないM&Aは失敗を生み、結果として株主価値を破壊させるので、企業の経営者は常に、自己の株主価値を増大させるため、正しい選択肢をしなければならないと説いた上で、様々な制度を紹介するとともに、独自の経営哲学を語っている。

元実務家の研究者ゆえ鋭い指摘が満載で楽しめるが、彼の「毒舌」(例えば、ライブドア・ニッポン放送事件の高裁判決を「無知蒙昧」、日本を代表する弁護士によるニレコのピルを「欠陥商品」、楽天や村上ファンドを「金の亡者は日本の経済や経営者を語る資格はない」と評している)も興味深い。ただし、実務家にとっては新しい情報はなく、むしろ企業の経営者向けて書かれたような気がします。