80年代をマドンナと比較されるくらい派手に駆け抜けたシンディの、いよいよ自身の音楽にじっくり取り組んだかと思わせる一枚です。何やら子供の頃に小さなプレーヤーで聴いたような懐かしさを思わせるイントロ「キンドレッド・スピリット」から始まる珠玉の13曲。2.涙のオールナイト・ドライヴは全体的に内に秘めたる熱い想いを抑えたかのようなヴォーカルだけど、キャッチーなサビの部分でそれを弾けさすような、ツボをカッチリと捕らえた曲構成。確か日本の紅白でも歌ってましたっけ（ちょっと寂しい雰囲気でしたが…）。当時の夜ヒットで披露した4.マイ・ファースト・ナイト・ウィズアウト・ユーは曲の良さも勿論ですが、外タレに有り勝ちな口パクでなく見事な生の歌唱を聴かせてくれてました。ちょっと切なさを感じさせるメロディーの6.ヘディング・ウェストや11.アイ・ドント・ウォント・トゥ・ビー・ユア・フレンド、　バングルスのスザンナ・ホフスもソロアルバムでカヴァーした8.アンコンディショナル・ラヴなど、全体的にやや大人しい感じではあるものの名曲が揃っている中で、個人的にはタイトル曲にもなっている7.ア・ナイト・トゥ・リメンバーが大のお気に入りです。イントロからしてドライブにピッタリな感じの雰囲気の曲で、気がついたら今でも時々聴きたくなる曲です。本当の名曲っていうのはこういう曲のことを言うのでしょうか？シンディ主演の映画の主題歌13.ホール・イン・マイ・ハートもしっかりフィーチュアーされてて、従来の派手なシンディも楽しめます。

アルバムリリースのインターバルが長く、「TRUE COLORS」を聴いた時点で次作への期待は大きかったため、随分待ったように思います。通算3作目となる「A NIGHT TO REMEMBER」、最初はタイトルが「KINDRED SPIRIT」と報じられるも発売延期となったりしたため、「待ち時間」がより長く感じられたのかも知れません。前二作と比べると明らかに「落ち着いた」雰囲気で、時間をかけてじっくり製作されたことを実感します。

ストイックなほど押え気味に始まり、サビで一気に盛り上がる②「I drove all night」、一瞬名曲「Stand by me」を彷彿とさせる情感豊かなバラード④「My first night without you」があるかと思えば、切なさを前面に出した歌い出しの美しい⑥「Heading west」、リラックスして淡々とつぶやくような⑦「A night to remember」と、徐々に引き込まれていく感じ。派手な楽曲が見当たらないなと思っていたら、ボーナストラック⑬「Hole in my heart」がしっかり収録されています。

80年代､ﾏﾄﾞﾝﾅとともにﾎﾟｯﾌﾟ界を席捲した女性ｼﾝｶﾞｰです｡
このCD､ｵﾘｼﾞﾅﾙの発売は確か80年代末か90年代初めで古いのですが､収められている歌はﾊﾟﾜﾌﾙで､ﾉﾘがよくて､少しも古びていません｡特に好きなのはﾗｽﾄの"ﾎｰﾙ･ｲﾝ･ﾏｲ･ﾊｰﾄ"で聴いていると踊りだしたくなるような躍動感があります｡

私はﾄﾞﾗｲﾌﾞの時によくかけるのですが､このｱﾙﾊﾞﾑを聴きながらのﾄﾞﾗｲﾌﾞは爽快です｡難を言えばﾉﾘがよいので､ついﾘﾝｸしてｽﾋﾟｰﾄﾞが出てしまうことでしょうか? 安全にご留意の上､お聴き下さい｡