ツキジデスやヘロドトスに比べてクセノフォンの知名度は低い。そのクセノフォンの著作の中でも、『ギリシア史』の人気は今ひとつだが、ギリシャ古典期の通史を知るためには欠くことの出来ない文献であるだけに、翻訳の出版は喜ばしい。しかし手放しで喜ぶことはできない。あまりにも誤訳が多い。文意を取りにくい箇所も少なくない（英訳本の解釈を十分に咀嚼しないで、日本語に置き換えた箇所に目立つようだ）。今後改訳を重ね、よりよい訳本になるよう期待する。

古代ギリシア史の基本文献です。トゥーキューディデースに続く「ペロポンネーソス戦争」の顛末を、クセノプォーンが分かりやすく語ってくれます。関心のある方は是非とも一読されるようお奨めいたします。