たしかに文学の研究者をめざす、ほんの一握りの大学生にはそれでよいだろう。しかし、大学で英語教育を受けているのは、圧倒的にそうでない学生ではないか。また、著者の主張するような教え方の失敗が、現在の惨状(日本人の惨憺たる英語力)を招いたことを、著者は忘れてしまったのか。
このような時代の流れに囚われない筆者の主張には、滅びの美学ともいうべき凛々しさはある。しかし、これだけ時代に背を向けた考え方は、やはり滅び行くものでしかあるまい。 志を壮とはするが、何ら問題解決につながらない本である。