精神科医である筆者が脳について語った本
★★★★☆
老化は普通、肉体の衰えからそのサインを読みとれるものであるが、
肉体よりも、精神よりも、実は「脳」の老化から最初に始まるのだ、
というスタンスを本書はとっている。
年老いてくと、脳の中でも人間に特異に発達した「前頭葉」が一番顕著に
萎縮をしていき、それがやる気や向上心の減退を招くと主張をしている。
したがって、前頭葉を若く保つのが健康上何よりも大切であると主張し、
前頭葉を若く保つためのアドバイスをいくつか行っているのが、本書の
中身である。
筆者は精神科医であり、本書のテーマは脳科学の関連分野であるため、
どれほどの専門性があるかは定かではないが、日常生活でも、意識して
自分にとって楽しかったり、刺激があることを見つけ、前頭葉の萎縮に
よって起こる、やる気の低下、気持ちの切り替えの遅さ等の現象を
くい止める方法をいくつか紹介し、身近な話にしている。
やや話が拡散してしまう箇所があること、筆者の専門ではないために、
どれほどの信憑性があるのかが分からないこともあるが、全体をとおして
一貫性があり、読みやすい文調と構成になっている。
ワクワクを続けよう
★★★★☆
肉体の老化より感情の老化を先にもってきているが、本当は肉体の老化が先なのだと思う。でも、そう言ってしまうと精神科医の著者としては書き様が無くなってしまうから、感情=精神の老化を先に持ってきたと思われる。
目新しい知見は無いが、ざっと読み通して参考にする上で、本書は分量が少なくて手頃。
気軽に読める老化防止系の教養書
★★★☆☆
和田氏の本はレベルが安定しており、どれを読んでも損がないと思います。この本もそのれいにもれず、値段だけの価値は充分ありました。とくに「任天堂DSで頭を鍛えても、若さは保てるようになるかもしれないが、尊敬される老人になれるものではない」という指摘は、なぜかうなずけてしまいました。老人が若い人から尊敬されるためには、先輩として伝えられる経験的な何かを有していることの方が大切なのだということです。
感情までは老化したくない
★★★★☆
本の背表紙などを見ると、この書物は40代以上の人をターゲットにしたものらしい。にもかかわらず、タイトルに魅せられて買ってしまった。わたしは、時間の経過とともに肉体が老いていくのは自然の現象でどうしようもないと考えている。しかし、心までは老いたくない。そうならないためのヒントがあればと思って買ってみた。読了間近までその手がかりが得られずガッカリしかけたが、最後の最後で求めていたものに出会えた。
「なぜ政治家はいつまでも若いのか?」。脳の前頭葉が委縮しても(肉体が老化しても)精力的に活動してリーダーシップを発揮する例がとても印象的だった。
意欲を生みだす前頭葉が、若さの秘密。
★★★★★
前頭葉が、人間として生きる意欲と好奇心を促す。
この低下が、感情の老化につながることを教えてくれる一冊。
p39 つまり「足腰が弱くなった」「記憶力が落ちた」などよりも、ずっと気をつけなくてはいけないのが「感情の老化」なのである。
p51 若者よりも、お年寄りの「引きこもり」のほうが深刻
今日は、「敬老の日」、NHKテレビで「百歳バンザイ!スペシャル」を観た。
100歳の彼らが、毎日、体操をされ、意欲のある人生を送られている姿に、百歳の可能性を教えて頂いた。
『人は「感情」から老化する』の背表紙を、これからも見えるところに置いていたい。