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科学哲学 (文庫クセジュ)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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論理学的方法に批判的なスタンスに共感。しかし圧縮されすぎ。 ★★★☆☆
よくもまあこれだけの数の哲学者たちをこれっぽっちの紙幅の中に詰め込んだもんだなあと感心はしたものの、やはり詰め込みすぎの観アリ。歴代の科学哲学者たちが各人いったい何を主張したのか、これ以上は短く書けそうにない最小限の叙述でズバッといくあたりはさすがの辣腕ですが、これまで科学哲学をかじったことのない全くの初心者がこの圧縮された叙述を読んではたして科学哲学の魅力を感じることができるのか?はっきり言って疑問です。

とはいえ、論理学的方法による、科学の形式面にばかり関心を傾注させてきた英米の科学哲学の潮流に批判的なところが、同じ思いの同志を見つけた気分になれてちょっと嬉しかったです(笑)バシュラールらに代表されるフランスエピステモロジーの嫡流を自負する著者ルクールは科学史に足場を置いた科学的概念の分析を重視せよと唱えます。そしてハッキングら英米の近年の科学哲学の業績がバシュラールの思想を再発見していることを強調し、英米の伝統とフランスの伝統の合流の可能性を示唆します。実際そうなるべきなんでしょうねえ。

クーンが火をつけた社会構成主義については「科学哲学から背を向けてしまっている」とルクールは評しています。科学社会学を学んできた身からすると、科学社会学は科学哲学的問題を真正面からとらえて科学社会学流の解答をひねり出してきたと思っているんですがねえ…。というか、バシュラールの「現象工学」のアイデアをすでに科学社会学者は実験室の観察分析の際に積極的に援用してきたし、ルクールが絶賛するハッキングの議論は、僕の理解では、科学社会学が科学における実験装置のもつ意義を再認識させたことに呼応したものではなかったかと。だからルクールは社会構成主義を正当に評価していないんじゃないかなあ。