そんな時、実際に作られた土地を訪ねたいという思いにとらわれたことは、1度や2度ではない。
そういう意味で、この本の旅は私にとって理想の旅だ。
この本で旅するのは「男」だ。
著者の分身であり、われわれの分身なのかもしれない。
大英博物館という、あまりにも巨大で、たくさんの収蔵品がつまっている場所で、
「男」は小さな美しい展示物に目を留めては、思索にふける。
それが作られた地を実際に訪れ、作った人や空気を感じ、さらなる思いをはせる。
なかなか、実際にこんな贅沢な旅はできないだろう。
この本を読めば、頭の中の知的な旅を味わうことができる。少々、高価な本ではあるけれど、私にとっては読んでよかった本の一冊だ。