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ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 化学同人
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事実は一つ,真実は・・・ ★★★★★
科学者がどうしてその道を志したかに興味があって,伝記や自伝を読んでいる.
とくに分子生物学を専攻したわけではなかったけれど,ヒトゲノム計画は新聞を賑わしたから,ワトソンと民間の誰かとが競争している,くらいは知っていた.しかもワトソン側にはNIHやエネルギー省,日本でも理研や慶応大学が関わっていたから,こういうビッグサイエンスは公の機関が公平無私で一致協力して行うものだと思い込んでいた自分にとって「民間の誰か」は私利に走ったけしからんヤツだった.その「誰か」の自伝が本書.やはり事実はいくつかの角度から眺めることが大事ですね.根拠のない思い込み撤回.真実はいくつかあるようです.
前半,ベンターが生化学の道に足を踏み入れるまでは科学者と言うよりも一人の人間が少し回り道をして志を固めるまでの軌跡として,科学者にとくに興味のない人にもおもしろく読めると思う.後半,ヒトゲノム解析研究に絡んだ展開は,科学者の社会もドロドロやなぁと野次馬的にも読め,またアメリカと日本の研究現場,研究政策の違いなんかも考えさせられた.
ゲノムや遺伝子にご縁のある方はもちろん,科学者,科学と社会,あるいはベンチャーや起業に関心のある方などもぐいぐい引きずり込まれる1冊だと思います.
理知的であり野心的でもある超科学者 ★★★★☆
 自伝と言うこともあり、一般読者(生化学系でない)も意識してか、純科学的な書籍ではなく、むしろ人文科学系の書籍と思って良い。
 あまりにもエネルギッシュなキャラクター、そして生き様は、ステレオタイプで認識する日本人科学者のイメージとはかけ離れている。
 良い意味で超野心的な人物であり、科学署というより、人生(生き方)を学べる書籍だと思った。
フィクションを超える圧倒的迫力と面白さ ★★★★★
クレイグ・ベンダーは、出だしからして社会の枠には納まれない人だった。高校までの成績は惨々。上級衛生兵として、ベトナム戦争に参戦し、凄惨な傷を負った負傷兵の看護から医学・医療に対する興味に目覚める。奇跡的に生還した後、復員兵援護法の援助を受けて、カレッジから勉強し直し、医学への道を志す。UCSDに入学し、師カプランの指導のもと、アドレナリンによる心筋細胞機能調節機構の研究に取り組む。アドレナリン・ガラスビーズというユニークな実験方法で、β受容体が心筋細胞膜の外側に存在することを発見し、その受容体構造に興味を持って、分子生物学の研究分野に入って行く。受容体の構造決定では現在でもその分野のリーダーであるボブ・レフコヴィッツに遅れをとったが、彼は分子生物学の行く先を見つめて、ゲノムの解読に突き進んで行く。彼は、従来の実験方法にとらわれないで、目的を達成するための独自のストラテジーを開発し、その分野の一流の研究者の厳しい批判をも顧みずに、自分自身の方法論の見通しに絶対的信頼を置いて突き進んで行く。そのセンスの良さが、彼の唯一のよりどころであり、競争に打ち勝つ源である。一貫した科学的研究に対する真摯な態度とベトナム戦争経験に基づいた人間愛が彼の情熱の底流に常に流れて彼の生き方を支えていることが強く感じられる。彼の科学に対する情熱とセイリング(ヨット)に対する情熱と取り組み方に切り離すことの出来ない強いつながりを感じる。彼に取っては、ヒトゲノム解読という大き事業達成も研究のゴールではない。彼の情熱は、地球環境ー地球温暖化ーをバイオテクノロジーで解決するという更なる大きな挑戦に向けられている。
とにかく読んでもらいたい ★★★★★
今やゲノム解読レースは遠い昔の話と思われるかもしれませんが、今もこのレースが過酷に続いていることは間違いありません。GWAS、1000ドルゲノムなど今後の行方を予測するためにも必読の書でしょう。
どうしてベンターがゲノム解読レースに勝ったのか?どうして日本は(先見の明があったにもかかわらず)ほとんど役に立てなかったのか?本書を読んで分かる様な気がします(ベンターは疲れた時にヨットクルーズに出かけていましたが、日本の研究者はどこに行ってリフレッシュしていたのでしょう?居酒屋?)。
この分野では米国に追従する日本ですが、その敵の巨大さ・傲慢さに改めて身震いします。
分子生物学に携る方に全員に、そうでない方にもどうか読んで欲しい。
ベンターに対するイメージが大きく変わります ★★★★★
 EST解析やランダムショットガン法など、ゲノム研究者なら誰でも知っている手法を編み出し、さらには自分の名を冠する研究所を設立してメタゲノム解析やゲノム合成などの新しい分野に今なお挑戦し続けているクレイグ・ベンター。
研究者としては間違いなく超一流ですが、彼に良い印象を抱いている人は少ないと思います。その大きな理由は、ヒトゲノム配列解読のために、セレラ社という企業を率いて公共の国際コンソーシアムと熾烈な競争を繰り広げたことに由来するでしょう。
 ですが、彼がそのような行動を取った経緯を知る人は、ゲノム研究者の中でさえほとんどいませんでした。それがこの本には書かれています。私はこの本を読んで彼に対するイメージがだいぶプラスの方に傾きました。
 最初の100ページほどが生まれてから研究者として成功するまでの人生について、中-後半の300ページほどがゲノム解読関連の出来事、最後の40ページほどにメタゲノム解析とゲノム合成についておまけ程度に書かれてあります。ワトソンやコリンズなどの公共の国際ヒトゲノムコンソーシアムの主たるメンバー、セレラ社の母体であったパーキンエルマー社の重役達などについては激しく批判しています。人を批判する文章を読むのが苦手な人は読まないほうが良いと思います。
 彼個人のゲノムは既に解読されていますが、それについての言及はコラムに少々書いてある程度です。
 読む際にゲノムについての知識は必ずしも必要ありませんが、あるとより楽しめます。