著者は2人組のイラストレーター「100%ORANGE」。「プリントゴッコ」に影響をうけたという、太くてかすれた線に黄色、赤、青、ピンクといった色の版を重ねたようなイラストが、懐かしさと同時に洗練されたデザイン性を感じさせる。
主人公の、ボーリング玉の男の子マイボーは、詩人。ボーリング場でアルバイトをしている。そのほか文通が趣味の女の子ノッキ、いつも頭にパンを乗せているこぶたのブーブ、夢見がちなひつじのウーリーなど、個性的なキャラクターが次々と登場する。でも、この一見かわいい登場人物たち、実はみな、かなりのくせものなのだ。
ウーリーとノッキは、「月にいちどのシャボン玉まつり」や「年3回」の「草原の食卓まつり」を紹介したあとに、「4年に1回」の「毒リンゴまつり」を笑顔でさらりと紹介。マイボーは色とりどりの靴下コレクションを前に「全部右なんだ」と胸をはる。ブーブはパン屋で良いパンを発見すると「スイマセン試着して良いですか」とひとこと。
一度その世界にはまったら、こっそり取り出して何回でも見たくなるはず。笑いのセンスを共有できる友だちへの、さりげないプレゼントにもおすすめ。(門倉紫麻)