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みなさん、さようなら (幻冬舎文庫)

価格: ¥760
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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貴志祐介さんが面白かったと言っていたので ★★★★★
『作家の読書道』というサイトで貴志祐介さんが面白いと言っていたので読んでみました。
最初のほうは、あまり面白いとは思いませんでした。
自分にとって居心地のいい空間だけで過ごしたいというのは誰でも憧れることだけど、
それを実際にやるのは甘えじゃないかと思ったのです。
前半は仲間が沢山いて牧歌的で自由で充実していて、いい御身分のように思えました。
それがどんどん仲間がいなくなって「みなさん、さようなら」ということなんだなと思ってたのですが、
実際にはもっと、一ひねりも二ひねりもありました。
出なかったんじゃなくて出られなかったのをプラス思考に変えただけだったのか。
中盤でびっくりさせられ、後半で雰囲気が変わりました。
そして、最後は……希望が見えます。
登場人物は恐ろしく多いのですが、その中で薗田と師匠には大変な愛着を覚えました。
昔読んだ『カリフォルニア物語』というマンガのインディアンとイーヴみたいです。
特に薗田のことはすごく好きになったので、彼には是非ともこのあと幸福になって欲しい。
主人公には、まっさきに彼を助けに行ってあげてほしいですね。
団地の中での成長 ★★★★☆
主人公の悟は小学校の卒業以来、団地から外に出ていない。
しかし、新聞などで取り上げられる“引きこもり”とは少し異なる。
なぜなら、団地の中で生活を営んでいるからだ。

団地の中のケーキ屋で働き、団地の人々と交流し、団地に住む同級生と恋をする。
団地の中から出られないということを除けば、普通の人と何ら変わりはないのだ。

物語の終盤で、悟が団地の外へ出られなくなった理由が明らかになる。
悟は、他の人よりも繊細で多感だった。
しかし、団地の外に出ることのできない悟に向けられる世間の目は冷たい。
それは、私たちが人を表面だけで判断して、内面を見ていないことの象徴だろう。

人は、誰しもトラウマを抱えて生きている。
自分のトラウマを受け入れて乗り越えることができるようになった時、初めて人は成長するのだと思う。

“人を思いやる気持ちと勇気さえあればトラウマを乗り越えられる”というメッセージを感じる作品。
ラストが残念!! ★★★☆☆
 主人公の悟は、小学校の卒業式でのある事件がきっかけで、
団地の敷地から一歩も外に出られなくなってしまった。

 それでも悟はひたむきに生きようとした。
毎日団地の図書館でひたすら本を読み、空手の練習をし、外との
唯一の接点である小学校時代の同級生の部屋の周りをパトロールする。

 作者の写実性は圧倒的で、そんな悟を回りは気味悪がる。
けっして温かく見守ったりしないところが、とてもリアルだ。

 しかし、団地の中で悟は恋もし、仕事も見つけ、大人のドス黒い
悪意から子どもを守ったりしながら、スクスクと成長して行く。
(余談ながら、この悪意の描き方も見事でした。)

 悟の周りに、彼を見守る温かい人や理解者ばかり描いていたのでは
白々しく、なんだか「人間を描いている」という気がしません。
悪意のドス黒さや悟を気味悪がったりする冷たさをきちんと描いた
ところが、作者のすごさなんだと思います。

 評価をあまり良くしていないのは、ラストが残念だったから。
悟はやがて団地を出て行くのだが、それはある事件が起こってやむ無く
の事だった。
 
 たしかにそのほうがリアリティはあるのだけれど、できれば成長した
悟が、自分の意志で団地を後にするラストにしたほうが、良かったのでは
ないだろうか。
青春の苦味 ★★★★☆
生まれ育った団地の敷地内から出られなくなり、そこで
青春時代を過ごすことになる男の子の物語。この変わった
設定が、この本を手に取るキッカケでした。

もしかして巷に溢れるような、世間を斜め四十五度から
見つめた勘違いブンガク系オタクの身勝手な独り語りかと
思っていたのですが、いい意味で予想を裏切られました。
しっかり物語っている、実に小説らしい小説です。

閉じた世界の中にこもり、開いた世界へと次々と旅立って
いく同級生を見つめる主人公の眼差しはドライでありつつ、
実に切ない。
ひたむきで、だけどどこか屈折した彼の生き様が、同じよう
に団地で育った者として、また、閉じた世界から抜けられな
い者として、心にビシバシと響きました。

未来の希望を感じさせるラストに、自分もまた救われた
ような気分です。余韻の残る小説に久しぶりに巡りあえて
なんとなく得した気分です。

そういえば、最近、気が付くと手に取っている本は
ほとんどが幻冬舎の本ばかり・・・・。
幻冬舎、いい感じですw
閉ざされた空間における物語り造りが絶妙 ★★★★☆
団地の中だけで生きていくという荒唐無稽な話に、現代社会が抱える問題を見事にシンクロさせた良作。
団地の変貌を通して、日本社会の衰退までが見えてくる。
著者のブラックジャックキッドを読んでいたので、かぶる部分が多く、この評価になりました。