日本で生まれ育った在日の女性が、母国でありながら、韓国の言葉と習慣の差に戸惑い、カチッ、カチッという時計の音に象徴される、
神経をすり減らしていくさまがギリギリと螺旋を巻くように語られている。
酒も煙草も化粧も、同じ在日同胞との日本語の会話も神経を休めるすべにはならず、あらぬ妄想を助長するだけ。ただサルプリを踊る時だけにその「生」が解放されている、息詰まる物語である。