特に第1部しか発表されていなかった「石の声」の第2・3部が収録されただけでも意味は大きい。第10部まで予定されていた長編「石の声」は完成時には確実にこの李良枝という作家を
金石範や李恢成と並び立つ作家に押し上げたであろう傑作の予感に満ちている。
全集の冒頭に収録されている、サルプリを踊る彼女を収めた舞台上のショットの、凛とした美しさが胸を打つ。