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若い詩人の肖像 (講談社文芸文庫)

価格: ¥402
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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「若い詩人の肖像」について一言 ★★★★☆
本著作は、戦後の正統派文芸活動を全うした伊藤整の告白的自叙伝である。
少年が青年となり成人となる道程とその心理的移ろいが、明確な散文体で
描かれている。また、青年詩人から大人の作家への転進ぶりも読み取れま
す。
伊藤整らの文学的功績は、藤村・朔太郎の時代と昭和から平成に生きる我
等に橋渡しをしてるとさえも感じました。
(伊藤と藤村とのエピソードも、ある意味その裏づけを感じました。)

伊藤整の場合、異性との関わりが作家としての感性を磨き上げたようですね!
青年期の普遍性と若い詩人としての特殊性を併せもった自伝 ★★★★★
 タイトル通り「詩人」の自伝ではあるが、この本の面白みのひとつは誰の人生の過程にも起こりうるエピソードと省察に満ち普遍性を備えたところにある。羅列されていく日常的なエピソードのどれを選ぶかで読み手の自己もあからさまにしていく本である。だからこの本の解説は論者によって扱う箇所が全くばらばらになっている。同じようなエピソードを繰り返すことには、初々しく驚くというまさに「若い」という感性の柔らかさと、日常に変化など求めない生活人の老練な感じを相反して示している。前者は描かれている当時の若者としての主人公と後者はそれを描く円熟した作者の持ち味で、二つが合わさっている。
 誰にでもあるような日常を過ごす主人公は、周囲の個性豊かだと思う人を羨望と自分との比較で強く心に映すことにもなる。小林多喜二の描写がもし印象的であるとしたら、多喜二の個性が強いというよりも、極端な道徳や生き方には沿えない自分と照らしている主人公もしくは作者の感性の鋭さによる。
 ここには梶井基次郎も登場し濃い影を落としている。この人には芸術的な面で一段上の将棋指しのように思い尊敬をしている。この場合は梶井自身の個性がやはり強かったということになる。しかし印象深い梶井の面影を鋭く照らし出し感受している作者のまなざしというものが結局背後にあり、誰にも起こりうる、すなわち陳腐さとは離れた「詩人」としての自伝にもなっている。
和製ビルドゥングスロマンの傑作 ★★★★☆
伊藤整が自身の青年期を振り返って書いた教養小説。過去の自分を情緒的というより知的に捉え、自己の発展の過程を鮮明に描き出している。客観的にかっての自分を見ているところが、この作品を単なる自伝ではなく教養小説として成り立たせている一因であろう。感情を抑えた客観的な描写によって淡々とした小説になっているのが欠点でもあるのだが。また当時の様々な文学者とのエピソードも興味深い。特に小林多喜二との邂逅は重要だ。ほとんど話すことのなかった二人だが、それにもかかわらずこれだけ伊藤整に強い印象を与えたということが小林多喜二の個性を表している。