オリエント急行
★★★★★
アルバムの解説によれば、1982年の発売当時、運行開始100周年を迎えようとしていたオリエント急行をモチーフに作られたそうです。ラヴェルのボレロのようなリズムをバックに蒸気機関車の発進を思わせる「序曲」、どことなく昭和の歌謡曲を思わせる「哀愁のオリエント急行」、YMOファーストアルバムからのカバー曲「シムーン」、クラシックで有名な「ペルシャの市場にて」などエキゾチックな曲が続きます。そして、LPでいえばB面にあたる後半では「霧のカレリア」「ワゴン・リー」など次第に欧風の曲調となり、最後の「ジョルジュ・ナゲルマケールスの夢」は列車の旅の終盤のイメージでしょうか(ちなみに、ジョルジュ・ナゲルマケールスとは、オリエント急行、すなわち国際寝台車会社を設立したベルギーの資産家で、ワゴン・リーとは、国際寝台車会社の日本における通称、とウィキペディアにありました)。
ところで80年代前半といえば、YMOや冨田勲などシンセ・サウンド全盛期でした。覚えている限り、喜多郎(シルクロードなど)、ヴァンゲリス(炎のランナー、ブレードランナー、南極物語など)など、当時よく耳にしていたと思います。21世紀になってYMOや冨田勲の名盤は紙ジャケで再発売されましたが、このアルバムのCDは長らく絶版となっていました。内容が良いだけにもう少し評価されてもよいと思っておりましたが、ようやく再発売となったようです。この再発売版の紙ジャケットにはスリーブに包まれた赤いCDが入っています。発売当時のEMIの赤盤LPを彷彿させる、粋な演出だと思いました。