陽水のバラードのベストと言う事だが、コンセプトのハッキリしないアルバムである。この時期、オリジナル・アルバムでなく、こうした企画物しか出せなかった陽水の姿を想像すると悲しい。

タイガース「花の首飾り」のカバーが入っているのがまず分からない。「恋の予感」、「ワインレッドの心」と、安全地帯への提供曲を2つ入れているのも分からない。沢田研二への提供曲「背中まで45分」が入っているのも分からない。「つめたい部屋の世界地図」、「いっそセレナーデ」、「リバーサイド・ホテル」、「新しいラプソディー」、「少年時代」等の代表曲は、普通のベスト盤でも聴く事が出来る。このアルバムの意義がますます不明である。

「5月の別れ」の様な隠れた名曲を採っているのが唯一の取り柄で、この方向でコンセプトを纏められたら貴重なアルバムになったと思う。初期から探せば、こうした隠れた名曲は数多くあった筈だ。それだけに本作の散漫さが残念である。

このベスト盤収録の「恋こがれて」名曲だと思います。いろんな方にカバーして欲しいな。アルバム自体は選曲に納得いかない方も多いことと思いますがね。

ボクが好きなヒット曲がすべて入ったベストアルバムだ。
これを聴くときはあまり深く考えずに気楽に聴こうと思うが、むしろそれぞれの曲のアルバムの構成がよみがえってくるから不思議だ。
それにしても、このベストアルバムのジャケット写真が美しい。
夜、ひとり静かに陽水の世界に浸っている。

このアルバム、一曲目が、２曲目を２曲目が、三曲目をと、各曲を「紡いでいる」。そういう風に聞こえます。
この選曲、というより、この「曲順」というのが、このアルバムの最大の魅力だと思います。最初に聞いた時に「ハッ」としました。今までのベストものとは、一線を画していますね。　　　　「背中まで45分」は、2005年のBS2「空想ハイウェイ」でオンエアされたバージョンだそうです。アレンジ、SAXは菊地成孔です

　私は基本的にBEST ALBUMというものが嫌いです。特にJohn Lennonのものが嫌です。というのも多少の順列組合は異なれど、基本のラインナップはいつも変わらずだからです。それでも出るたびに必ずやシングルＢ面曲や未発表曲が１〜２曲収録されていたのですべて買いそろえてきました。陽水氏のそれも平凡など（ポリドールモノは論外ですが）基本的には同じ考え方で買いそろえてきました。
さて、今回はどうか。まず曲目を見ると『すべて既発曲だな。これなら自分で作れるな。それにしてもUnited CoverやBlue Selectionなどの（新曲を作らないで済んだ）企画は（特にコーヒールンバは大成功）天晴れだったのに、バラードベストなんて陽水氏もついに普通の人になっちまったか。』と思って買うのをためらいましたが、もしやと思って買ってみました。すると、するとです。運命の陽水大明神は微笑んでくれました。『背中まで４５分』が新録（たぶん）じゃあないですか。やったやったと今小躍りを続けている自分です。
今度はBEST ALBUMとかバラード集ではなく、既発曲から何らかのコンセプトアルバムを編集して欲しいです。膨大な既発曲があるのだからいろんなことが出来ると思います。新作や新企画が出るまで、毎晩このＣＤとお風呂で混浴したいと思います。（風呂で聴くと５つ星ものの良さが出ます。）