手作りの悪夢
★★★★★
たんねんに手作りされた悪い夢、という映画ですが、
特撮怪獣映画の雰囲気も備えています。
巻き込まれ型主人公かと思いきや、実はこの主人公こそが
悪夢の中心を形成していたというのがシリーズを通しての
共通展開ですが、この2での主人公はまさに眠れる破壊神。
これを観たとき、
廃墟や鋼鉄に魅せられるサイバーパンクの
映画作品が日本で作られたことに驚愕を感じたのを覚えています。
胸を突き破って銃があらわれるのも実にすばらしい。
鉄男1の美もよいですが、鉄男2の美も良いです。同じ事をやる必要はありません。
そういう考えで鉄男3を見ると見事にイメージが共鳴し合って面白いです。
過剰に触手のようなワイヤーに浸食され、徹底的に蹂躙される人間は鋼鉄となり
自らの感情に正直になる。
鉄男1(序)では世界を犯し、
鉄男2(破)では世界を滅ぼす。
鉄男3(急)では自らの負の感情をついに制御し世界とともに生きる道を獲得するのです。
3つの作品を並べると、鋼鉄の意思に流される主人公がついに自らの意思で
それを押さえ込み、制御に成功する物語にも思えます。
錆びない
★★★★★
他でも書きましたが、先日日本で最初の新作鉄男の試写会に行ってきて改めてこの鉄男Uを観て思ったんですが、TよりもこのUの要素を多く含んでいる様に思います。
先日発売されました塚本晋也読本スーパーリミックスバージョンの中である方が書かれていましたし、そこに悪夢探偵2が加わった正に現代の塚本監督の総決算的作品、って新作ばっかりゆうてこちらUに全然触れてませんが、それは新作で初めて鉄男を観られてハマらられた方の方向性を示せれば、と勝手に思っております。
皆さんで塚本監督作品の良さを広げていきましょう。
金属VS筋肉!
★★★★☆
怒りの感情のみで構成されたかのような一作目に比べてぬるくなったし、大体カラーにしちゃメタリックな質感が出ないじゃないの
・・・ということなのかどうか知りませんが、えらく評価の低い二作目。個人的には内にこもる一作目より観客の目を意識したであ
ろうこっちの方が好きだったりします。相変わらずのパワフル(というか強引な)演出でグイグイ見せていくわけですが、
それが一回転して笑いになっているところがポイント。塚本の気持ち悪いナルシスト演技、スキンヘッドのバカっぽさ、
怒りがすべてを飲み込む圧巻のラスト・・・とまぁ、冗談なんだか本気なんだかよくわかりませんが、むしろそれが奇妙な味になっています。
悲喜劇ならぬ怒喜劇というか(なにそれ?)
しかし塚本監督、昔っから「鉄男USA」撮りたい撮りたい言ってたみたいですけど、本当に撮るとは(しかも今頃)。
人生何が起こるか分かったもんじゃないですね、ホント。