見所満載の充実した内容
★★★★★
進化して2足歩行する動物(犬、猫)が、高度な文明を築く、という舞台は過去の作品「のび太の大魔境」「のび太とアニマル惑星」で、ほぼ同様のネタが扱われているが、今作ではまた違った角度からのアプローチによって、ドラマティックな冒険活劇を展開している。
まず、冒頭で謎めいた老犬が登場するプロローグが強く印象的で、読者を物語に引き込む手法が素晴らしい。
個性豊かなキャラクター、ドラえもんの恋、緊張感のある白熱した戦闘シーンに、ペットに対する人間の仕打ちへの風刺をも物語の中に巧みに取り入れており、実に読み応えのあるストーリーになっている。
特に、タイム・マシンの原理を応用したタイム・パラドックスによる舞台設定が実に見事。それが大きなカギとなって、後半の感動的な場面に結びつき、ラストのまとめ方に一工夫も二工夫も凝らしてある。
ここ近年の大長編作品でも特に完成度の高さを感じさせる、優れた内容だ。