ダンス・ミュージック・シーンで大ヒットしたデビュー・アルバム『OK Cowboy』以来、4年ぶりとなる2nd。ディスコのわかりやすさを維持しつつも、デスクトップ・ミュージックの特性を発揮して、ストレンジな冒険心に満ちたサウンド・アプローチを展開している。

ギターをガンガンにサンプリングして攻め立てる1stでダンス×ロック大流行の一端を担ったヴィタリックの2nd。
今回は前作にあったバッキバキのビート攻勢は鳴りを潜めその姿をロマンチックでスペーシーなものに変貌させています。
しかし決して内省的になったわけではなく、どちらかといえばレトロフューチャーなシンセ使いが顔を覗かせる為か、「踊れる」その要素には前回までの縦ノリ偏重なサウンドではなく奥行きと叙情性をもってレイヴ的な多幸感に溢れる内容になったかなと思います。

BGM効果も大いに高まったようにも思い、アルバム通して流しててもいい感じで、随所に広がるキラキラのアルペジオが高揚感を煽ってくれます。

クルッカーズ、ボーイズノイズなど、この「フラッシュモブ」発売と同時期に同系の新譜が出ましたが、そろそろロッキンなエレクトロに食傷気味を覚える人には程よいノド越しになるのではないでしょうか。