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可愛いピアス (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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背筋の伸びた言葉に打たれる ★★★★★
60ほどのエッセイが寄せられている。
その話のかなりの部分に、競輪やマージャンなど、自分には余り縁のないギャンブルにまつわる出来事が
ちりばめられているから、ちょっと取っつきにくく感じて、しばらく放ってしまっていた。
しかし、ギャンブル話は一つのきっかけのようなもので、読み進むうちに気にならなくなってきた。
お酒にしても、ここまで飲まないけど、でも、そこかしこにある大人の男としての思いが、だんだん染み
てきた。
軽い話もあるし、重い話も軽妙に片づけている部分もないではない。
でも、根本のところで、ずっしりと腹に効いてくる。そんな作者の思いが伝わってくる。
特にこの国の、政治家とか官僚とかの振る舞いに心の奥底で厳しく怒っている思いが伝わる。
我が国の、本当に誇れる節度と言うものが、多くの公共の場面で失われて行く様を、重く受け止めている。
大人の男がだらしなくてどうすると(いや、生活ぶりは作者もかなりだらしないんだけど、そう言う意味
ではなくってね)、あからさまに聖人ぶったり扇動者っぽくしないで、しかし、厳しく諌めようとしてい
る。
標題の「可愛いピアス」がまさにそれで、まさかこんな話として出てくるとは思ってなかった。
もっと、艶めいた、あるいは少なくとも可愛い少女の話かと思ったら、なんのなんの硬派な気概にあふれ
た話しで感銘を受けた。
社会的にしかるべき地位にある人達の、自らを律する心意気が失われている。
作者の、そういった強者に向ける強い目が、背筋の伸びた姿勢がとても頼もしく、好きだ。
好きな人には安心して読める ★★★★★
おそらくこの作者のエッセイは、好きか嫌いかにはっきり分かれると思います。私はこの「二日酔い主義」シリーズを最初から読んでいて、作者のどうしようもなくだらしのない、けれどもホロリとさせられる文章が好きです。「無頼」という言葉では語り尽くせないものがあります。

もう少し早く文庫化することって出来ないものでしょうか?