しぶ〜いソウルジャズ
★★★★★
チャーリー・パーカーにも全然ひけをとらないアルトサックスの名人がソニー・スティット。彼がテナーを渋く決めるソウルジャズアルバムが本作だ。かろやかでスピーディな語り口がスティットのアルトの特徴だが、テナーではドラマティックかつブルージーなフレーズをどんどん紡ぎだす。ミディアムからスローナンバーが中心の本作ではスタンダードと自作のブルースが半分づつの構成になっている。全編に渡ってステイットのまろやかでコクのあるテナーがじっくりと楽しめる。変にギンギンノリノリのソウルジャズになっていないところが好きだ。控えめではありながら、サウンドの中心にでんと構え、寄せては返すさざ波のようなオーケスラゼーション効果を醸し出し、ローダウンな曲の雰囲気を演出するジャック・マクダフのオルガン。ウォームなテナーと溶け合う落ち着いたまろやかな味わいが格別だ。決して出しゃばらずサウンドのスペースをうまく埋めるギターとドラムス。かなりの腕達者と見た。クレジットを見ると、ギターはEddie Diehl(Kenny Burrellの変名か?)とドラムスはあのArthur Taylor(以外だったが納得)。コンガのレイ・バレットも曲によって加わる、四人の名プレーヤーがスタンダーズ曲をブルージーかつソウルフルにプレイする本作は、コテコテのソウルジャズファンよりハードバップファンにお勧めできる。