頭と手を使え!そして謙虚に
★★★★★
何年かぶりの魚柄さんの本、大体わかっているつもりで読みましたが予想外に面白かった。
まず、冷蔵庫を管理できず食材を無駄に傷ませている人について、「あきれた」「あさましい」と手厳しい。魚柄さん、今までになく怒りモードなのです。
そういう私自身、「台所リストラ術」とか「魚柄の料理帖」とか本棚に並べている割に冷蔵庫の中は・・・なぜか買い物に行くと収納に苦労する!?何が入っているんだ??いつか食べようと思っていた何かいろいろ・・・
ネットでもスーパーでも基本的に買い物って楽しいのでつい買いすぎ、作りすぎ。でも、大丈夫、冷凍すれば!とか言って、凍らせると正体不明になり、いつのだかわからなくなると食べたくなくなり・・・すみません。私です。冷蔵庫を欲望の墓場にしているのは。
早速買い物に行かないで冷凍庫のイカの一夜干しをおかずにしました。これからは気をつけます。
考えてみるとレシピありきで料理を作るからいけないので、冷蔵庫の中を見てレシピを考えれば余らないハズ。ですね。
要するに頭を使えってことですね。自分の手間を惜しまないで料理すれば高くて何が入っているかわからない出来合いの食材を買うこともないし。
頭を使えっていうことでいうと、何がおいしいか、も、自分の頭(と舌)を使うところであって、出来合いのグルメ情報に左右されてちゃいけない。頭を使わないから北海道産のwild鮭(しかも稚魚をわざわざ放流したもの)を中国に安く輸出してチリやノルウェー産の養殖脂たっぷりサーモンを輸入するなんていう、あらゆる意味で無駄なことができちゃう。地球温暖化、食糧自給率、食育、捕鯨、農業、野生動物被害などなど、魚柄流に料理すれば進むべき方向は見えてくる!
初めて同居人さんとのなれそめや介護の日々も読むことができ、魚柄さんの厳しさだけでなく温かさにも触れることができました。しかも鶴橋のイカ焼きやさんとあとがきのエピソードで泣け、前向きな気持ちになれて、冷蔵庫を見直して家計にもお役にたちそうな内容ぎっしりな一冊です。おすすめします。
食の変化は激しい
★★★★☆
食品の1円セールとか激安セールを見て、そこに群がるおばさんはちゃんとそれを食べているのか疑問になる。はっきり言ってそんなに買ってどうするのと思う。たまごが1パック10円だからといって3パックも4パックも買っても消費期限が切れてごみ箱行きは悲しい。たとえ安くても必要な分だけでいいんだ。冷蔵庫には今日と明日の食料があれば十分なのだ。日本人は合理的に生きる術をいつしか忘れてしまったのではないだろうか。
冷蔵庫の話以外にも食の変化・ライフスタイル・築地の話など面白い話が多くあった。食の広さを実感できる内容でしたね。今の食は安さと全体の画一化が進行してとても狭い生き方になってしまってると思いました。これを期に自分のライフスタイルがどんなものか見てみてはどうだろうか?
あとがきにやられた
★★★★★
わずか数ページのあとがきに泣かされるとは思いませんでした。
いつものおちゃらけを廃し、ストレートに書くとこれだけのものを書けるんだと、ちょっと驚きです。
エッセイストとしてもかなりの力量をお持ちのように見えるんで、小説家デビューとかどうでしょう?
スケールダウンすること
★★★★☆
気がついてみると、自分の家の冷蔵庫も似たようなものだった。体調をちょっと崩して食事を作らないと、生ものが腐ってる。冷蔵庫を過信してる…。本書の中でちょっと手間をかけておけばいいと書いてあった。例えば生の魚を下ろして塩をしておくとか。たしかにそれだけでもしておけばいいのかも知れない。ちょっと反省。食べることの大事さを教えてくれる。
でも、頭でっかちでもない。多分、もうちょっと前の日本人ならしてたことなのかもしれないけれど。
食のスケールダウンか。地産地消でいいんじゃなかろうか。自分が料理をして思うけれど、やっぱり食べるものって子どものころ食べたものが多かったりする…。調理法もわかるし(笑
)。食べるものを食べる分だけ買ったら案外自給率って上がらないのかな?って思ってた。
難しいこと説明するの苦手だからこれ読んで!って言うほうが簡単かも。
食卓の豊かさとは何だったか、考えさせられました。
★★★★☆
この本で一番よいと思ったのは、タイトルです。このタイトルを読めば、ギクリとする方も結構おられるのではないかと思います。そして、本書の主張を一言で言い表していると思います。世帯人数が減っているのに反比例するように大きくなってゆく冷蔵庫。ぎっしり詰まった冷蔵庫がありながら、毎日食べるものは買い物に行く。どう考えてもおかしい。といった台所周辺の歪みを検証してくれます。後半では、食糧事情、自給率問題などにも触れ、食べ物の大切さを思い出させてくれました。至極、真っ当な主張だと思います。身近な冷蔵庫の問題から話が始められるのが、受け入れやすいのではないかと思いました。食卓の豊かさとは何だったか、考えさせられました。