端的にカードの意味合いが書かれており、それでいて後半のリーディングときちんと符合する形になっているのでよく理解できました。膨大な暗記を強要されることもなく一度タロット占いに挫折された方にもお勧めできます。自分としては良い本に出会ったと感じています。
無意味にやたら長い説明で煙にまくような説明が嫌いな方は、本書の明瞭な解説に好感を持つことでしょう。逆を言えばちょっとこれでは説明不足かなっと思えるカードもあるのも事実です。しかし、そこのところは、リーディング編である程度カバーしてあるのでトータルでは良い出来だと思います。
リーディングの意味が理解できないときは、典型的な意味よりカードよりのインスピレーションを重要視したリーディングであり、その点も触れられているのでそれはそれで筋が通っており、このリーディングは？？？という部分が少なかったです。最後までサクサクに読めて良かったです。

１つの占い方につき９つ以上の、恋愛・仕事(学業)・健康・金運(買い物)・友人(家族)など、様々な分野の実例が掲載されていることは評価できます。ですが、本書のアピールポイントであるイメージフレーズは抽象的で、自分が占っている事柄に当てはめるとどういう意味なのか読み解こうとしたときに役立つ可能性は低いと思います。占っている事柄とイメージフレーズがうまく結びつかない場合、長ったらしい説明文を読んでそのカードの意味を理解して、恋愛の場合はこうなるのか？仕事の場合はこうなるのか？と正解なのか不正解なのか分からないまま、リーディングをしなくてはならなくなるかと。初心者向けと謳うのならば、恋愛の場合はこういう意味、仕事や学業ならこういう意味、と簡潔すぎるくらいの説明で済ませたほうが分かりやすいのでは？と感じました。あまりにも期待はずれだったので星１つにしようかと思いましたが、実例の数と、３枚以内の占い方の種類の多さを考えて、星２つにしました。

　まさにタイトルの通り、初心者向けの入門書です。難しい論理抜きで　すぐに占いをやってみたい人には良いと思います。しかし、既にタロットの知識を身につけた方には物足りなく感じるでしょう。☆３つにしたのは入門書の割りにリーディングの実例が多く、多少参考になりますが、結果を判断する説明がそれほど詳しいわけではありませんから。なぜ占いの結果をそう判断したのかまだ良く分からないところがいくつか有りました。たとえ、絵画のインスピレーションでも一層具体的に説明して頂ければ、中級〜上級者にとっても良い参考書になるのではないかと思います。

　あと、カードの解説はライダー版の大アルカナ２２枚のみで、このような簡単な説明や占い方だけですと、現在数多く市販されているオリジナルタロット（同じ大アルカナ２２枚のみ）などに比べて、大した差異ないと感じがして否めません。せっかくライダー版を扱うからにはなぜこのような絵柄が描かれているのかもう少し詳しく説明して欲しかったです。もしライダー版にこだわらず、難しい理論抜きで占いできる本が欲しいなら、個人的に鏡リュウジ氏『はじめてのタロット』をオススメします。こちらは説明も分かりやすいですし、占いの面でもインスピレーションで状況を判断しやすいです。ちなみに、既に大アルカナ２２枚の解説本をお持ちの方でしたら、この本の続編となる『続はじめての人のためのらくらくタロット入門』をオススメします。人物カードを含む小アルカナの説明が中心ですので、枚数が多くなかなか覚えられない小アルカナの良い参考書だと思います。　今後も藤森先生に良いテキストを期待しています。