落語の魅力に開眼した一枚
★★★★★
亡父が志ん朝師匠の大ファンでした。
(父は春風亭小朝師匠、立川談志師匠と並んで志ん朝師匠のファンでした)
それを思い出し、ふと図書館で借りてみたこのCD。
本当にふと、としか言いようがない衝動だったのです。
落語の演目も知らず、なんとなく手にとった一枚だったのですが…
『堀の内』のテンポの良さに驚き、落語で笑う、という経験を始めてしました。
枕からサゲに至るまで、くすぐりも満載。せっかちな私には特にツボな部分も
多くて、楽しかったです。このCDを聞いてから、落語にどっぷりハマってし
まい、他の噺家さんのCDを借りたり、寄席にまで通う始末。
(化け物使いも面白い!いわゆる滑稽噺というのですね。笑えるお噺です)
ただ、志ん朝師匠の声・テンポ・話の流れのすべてを溺愛しており、なかなか
ここまでハマれる落語家さんに出会えません。
私は声質も重視するようで、ガラガラ声の落語家さんの話は聞き取りづらい気が
して集中して聞けません。その点志ん朝師匠は艶のある澄んだお声で、流れるよ
うに語られる。聞き惚れてしまいます。
今は全CDを所有しています。
ご存命の間に知っていたら、一度でも生の師匠にお会いできただろうにと思うと
悔しくてなりません。興味があったらぜひ一度お聞きになってほしいです。
落語の魅力に取りつかれるかもしれませんよ。奥が深くて素敵な世界です。
どうぞお待ちしています。
ひたすら楽しい
★★★★★
志ん朝による滑稽噺が2席。とにかく楽しい。とにかくおすすめ。あとは、いうことなし。
思わず噴出す面白さ!
★★★★★
「笑いのツボ」には個人差があるのでしょうが、この二席は私の「笑いのツボ」にドンピシャでした。
まず堀の内、ドタバタ系、大看板がやるような噺ではないのかもしれませんが、聴いていてとにかく可笑しくてしょうがないんです。思わず「プッ」と噴出してしまいます。神田から中野に行くのに間違えて両国に行ったり、浅草の観音様を無理やりお祖師さまになりませんかと言ってみたり、とにかくナンセンスで笑っちゃいます。この種の「苦しい」くすぐりは、下手な噺家がやると本当に「つまらない」ことになってしまいますが、さすがは志ん朝師、聞き手に無理を感じさせません。蛇足ですが、上方落語では「いらちの愛宕詣り」が同趣向の噺ですね。
化物使いは、演題からネタばれしてしまう恨みはありますが、こちらもホントに面白い。特に、主がのっぺらぼうの女性に対してかける数々の言葉の可笑しさは最高です。
☆5つ。最高の2題連続口演!
★★☆☆☆
この二つの噺が休みなしに連続して演じられたと言う事実をまず、評価したいと思うのです。
まずは「堀の内」。この荒唐無稽と思える話を速射砲のように息もつかせず演じるのは、志ん朝師匠しかいなかったでしょう。よく考えると、この主人公は、近視で、方向音痴名だけではないかとも思えるのだが、そう感じさせない速射砲はさすがです。
「ほら、頭がぶつかった」「おとっつぁんだよ」「そうか、親子にしても感じ方が激しかった」のギャグは秀逸。
続く「化け物使い」は、これも荒唐無稽、現実にありそうもない話である。それが、不思議でなくなるところに「杢助」の演出がしっかりしているからだろう。
残念ながら、下げ・・・「お暇をいただきとうございます」でもう笑ってしまう。「こんな化け物使いの荒いところでは辛抱しかねます」では、気が抜けてしまう。工夫して欲しかったと思う。
工夫と言えば、1992年頃の国立劇場での「落語研究会」では「杢助」の「お暇をいただきとうございます」に「なに?久しく聞かなかった言葉だな」と言うギャグを加えている。
こうした工夫が、その後、もっと出来たのではないかと思うと師匠の急逝は残念だ。
追伸・・・だから、同じ演題でも好きな噺家のCDを買ってしまうのです。全く同じものを別の名前で売るのは詐欺です。
あまりおもしろくなかった・・・
★★★☆☆
一応笑えるけれども志ん朝師匠による他のCDに比べるとやや見劣りするかもしれない。
もちろん個人差があるとは思いますが・・・