アート.ファーマーは派手さはないけれども、良く歌う、理知的なジャズトランペッターの最右翼とも言える存在です。一方、ジジ.グライスは、音楽理論をきっちり勉強した人で、作曲のセンスには非凡なものがあります。この2人のフロントラインは非常に魅力的です。グライスのちょっと捻ったコード進行を持つ曲(佳曲多し)を、訥々と歌っています。グライスはジャズから遠ざかってしまったため、あまり評価されていませんが、この人の作曲、プレイはもっと評価されるべきものがあります。永年着込んで身体に馴染んだ革のコートのように、聞き飽きしないアルバムです。ジャズを聴き始めたばかりというかたにも是非。