結晶は生きている―その成長と形の変化のしくみ (ライブラリ物理の世界 (3))

すばらしい入門書 ★★★★★

　結晶成長学のすばらしい入門書。最初の１冊目に最適である。用語、解説内容、構成、基礎から高度な内容まで、どれをとっても過不足ない。参考文献も示されており、役に立った。
　著者は氷の結晶成長で擬似液体層モデルの提案などの業績をもつ。自身の業績も組み込まれているが、非常に示唆に富む内容。
　もし再版される機会があるのなら、横書きに直していただきたい。縦書きのために軽視されてしまうにはあまりにもったいない。

高度な入門書 ★★★★★

結晶成長という物理学の中では地味な領域を扱った入門書です。著者は知る人ぞ知る大川章哉先生の期待の弟子でした。記述は平易ですが、大学教養課程程度の熱力学あるいは統計力学の知識があったほうが読みやすいと思います。

唯一残念なのが、本書が縦書きなこと。著者のかつての同僚のお話では、横書きにすると一般の読者に売りにくいのだそうです。ですが、この本の対象となる読者は九割九分理科系の出身でしょうから、横書きでも良かったし、そのほうが理系の読者には読みやすかったのではないかと思います。

内容は入門書ですが、高度な題材まで扱っています。他の領域の研究者で結晶成長に関わる仕事を始めようとするかたは必読と思います。

著者がご存命であれば、良いお仕事をされていただろうと悔やまれます。

電子材料など工学方面からの入門書は多く出ていますが、日本語の本で理学方面から、これだけの内容を扱った入門書は少ないと思います。知り合いが某国立大で教えていますが、絶賛していました。これから進学する学科を決める教養の学生さんに一読を勧めます。素粒子方面だけが物理学の対象ではありません。

スタートするには大変良い本だと思います． ★★★★☆

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スタートするには大変良い本だと思います． ★★★★☆