パリの雰囲気満載のアルバム
★★★★★
クレールエルジエールの最新作。
私は先日、彼女のライブを観たが、想像以上によかった。ライブのオープニングで演奏された1や、6のノスタルジックな雰囲気は特筆もの。シャンソンだけでなく、サルサやタンゴの要素も取り入れバラエティに富んだ内容となっている。フランス特有の(?)けだるさと力強さを持った彼女のボーカルは美しい。アコーディオンのダニエル・コランをはじめ、ギターのクラヴィック・ドミニク、ピアノのグレゴリー・ヴーといったなじみのメンバーがバックをしっかり固め、尺八や沖縄の三線といった伝統楽器が彩りを添えていて、パリの雰囲気が満載だ。中でも、グレゴリーヴーのピアノは必聴。6では、優れたメロディメーカーぶりも発揮している。また、10ではクラヴィック・ドミニクのダンディなボーカルも聴けるのが嬉しい。
ただ、一つだけ難点を挙げれば、三線を使う理由がわからない。異国の楽器をアクセントに使いたい気持ちはわかるが、全然三線らしくないバンジョーみたいな音でどうしてこの曲のこの場所で?という気持ちはなきにしもあらずだ。尺八は雰囲気を出しているだけに、余計にやや耳障りな印象を受ける。
そうは言っても、おしゃれなティータイムなどに、ゆったりとくつろいだ雰囲気の中でじっくりと味わってほしい大人の1枚だ。