なお、私は、以下のように、本書の一部分について、執筆者の意図とは違うであろう読み方をした。
バブル経済崩壊以降、料亭は経営が苦しいときく。もし、P.135のように、京都の料亭でゴールドカードが使えない場合が多いなら(新札で払うのが上客だそうだ)、その理由の一部はそのような時代錯誤の経営センスであり、自業自得だと思った。それは単なる料亭側のキャッシュフローの都合に過ぎず、客の立場に立った考え方をしていないから、疎んじられたのである。
なお、私には、代々京都生まれで京都育ちの知人が数人いるが、本書の「京都のマナー」で書かれているような、奥歯にものがはさまったような言い方をする嫌味な人間はいない。サンプルが少ないので確信を持って言えるわけではないが、京都の一般人は、商売人とは違う場合が多いのではないかと思う。
いわば客としての品格を学ぶ本だと思います。
批判を覚悟で言えば、格式ある老舗や良識のある大人の社交場に出入りするのにアナタは本当にふさわしいのかを問うている気がします。
徹底的にお店側の視点から述べられています。
ただ、堅苦しいことは書かれていません。人間としての良識、最低限のマナーさえ身に着けて、後は気楽に存分に楽しんでくれという感じです。
大人の娯楽を楽しむためにはこの点だけちょっと気をつけてネ、という感じでしょうか。
レストラン、ホテル、バーなどの従業員の方からさまざまなコメントをいただき、良いお客とはどういうものなのかと言うことをインタビューしてまとめてあります。
この中で編集者から一貫したメッセージは、良いお客であればお店からも優良顧客としてふさわしいサービスが受けられるということです。
特に、以下の3点ができているお客様に対しては、それ相応のサービスをお店もしてくれると言うことでした。
1.お店への気遣い
2.お手連れの方への気遣い
3.他のお客様への気遣い
お店の方からの意見を中心にまとめてあるため、お金を払ってサービスを受ける側がそこまでする必要があるのか?と疑問に思うこともありますが、他の方への気遣いを大切にしながら「粋」に大人の時間を楽しみたいという方には大変参考になると思います。
また、お客様とお店という関係があるとこから、お店の方が実際にどのように思われているのか伝わりにくいことがあります。実際、本書には多くの方にとって耳の痛い話含まれています。この際、そのような話も真摯にうけとめて自分のマナーを見つめなおしたいというかたにも参考になる一冊だと思います。