読み進めるうちに誰もが自分の幼少時代を思い浮かべ「私もこんな風に感じていたのだろうか?」と自身に問いかけてしまうはずだ。その年頃の子どもがいる人ならば、「この子もそこまでわかっているのか」とドキリとしたり、「思い当たる節がある」と妙に納得するかも知れない。
春日が幼少時代を過ごしたのは1960-70年代と推察できる。DV(Domestic Violence)ぎみの父親-ダディとその父親の支配下で健気に専業主婦をこなす母親-マーミー。隣に住む母方の祖父と祖母や大勢の親戚たち、遊び友達などが春日の鋭い視点でリアルに描かれている。
「しょっぱいドライブ」よりも人間関係が濃厚で生活観に溢れているせいか、小説として愉しめました。