演歌独特のロマンを残しつつ、新しい演歌の提案!
★★★☆☆
子供の頃、日曜の午前中父親が日曜大工をしながらモノラルのラジカセでよく演歌を聴いていました。子供の耳に演歌は不思議な不思議な世界で、港町の風景やただならぬ恋物語などなどわけのわからない想像力を膨らませたものです。演歌には演歌独特のロマンチズムがあるのだということは子供心に気づいていました。
大人になってみて演歌は徐々に衰退していくわけですが、時々、ホント時々、この世界に浸りたくなる時があります。
そんな時、氷川きよしを聴くのです。彼は割りにあっさりドライに歌い切るので軽く聴けちゃいます。そしてそれが彼のすごいところだと思います。こんなハイテクの時代に昭和にトリップしちゃいそうなアレンジで、歌唱は2005年進化した演歌を提案しています。
好きではない人も一度聴いてみてください。氷川きよしが、必ず気分を別世界に運んでくれます。
今の大阪でこれだけいい歌が歌えるマジック
★★★★★
(1)は今年の演歌のみならず日本音楽界全体でも大傑作。
昔々のお話のようなほのかな恋の世界を、今時の若者がこんなにさわやかに歌えるとは。この表現力は並みの歌手ではない。氷川きよし以外ありえない歌ですね。普段演歌どころか正直日本の歌自体あまり聴かないですが、素直に良い歌を聴きたいと言う欲求に、一番親しみやすく、それでいてハイレベルに答えてくれるという点で、素直に素晴らしい歌手だと思います。
いろいろ悪い話しか聞かない大阪という街に、久々にいい話を提供できたと言う点でもポイントが高いです。過去の演歌的なご当地ソングのもったり感がないどころか、ブルースやジャズのような土着的なクールさまでかもし出されているとこなんか凄すぎ。この一曲で充分おなか一杯なんですが、ほかの曲もこれまた上手いんだからねぇ・・・
凛々しく成長した「オトコ」きよしの歌声に酔う
★★★★★
台風で延期となった福岡バースディコンサート
代替公演当日がこのアルバムの発売日で、開演を待つ会場に
「演歌十二番勝負」が流れていました。力強い声と骨太の作品群に
喧騒の中、聞き惚れていたのは私だけではなかったでしょう。
「おーい中村君」「波止場のマリー」も同公演で披露してくれました。
明るく軽やかに謳う中村君も天性のものを感じますが、
「波止場のマリー」の歌い込んだ出来栄えにも息を飲みました。
常に努力をおこたらず、ステージを勤め上げ、その積み重ねが
「表現者・氷川きよし」の幅をどんどん広げているのでしょう。
今回のアルバムは新しい編曲の先生も加わっているようですね。
「演歌名曲コレクション5」そしてこの「演歌十二番勝負」…
どちらにも松井由利夫先生・水森英夫先生の作品は入っておらず
心細い感もありましたが、デビュー6年目の新たな挑戦と思えば
十二分に実りある年だったのではと思います。
「きよしとこの夜」でも様々なジャンルの曲に挑戦を続ける
頑張りやさんのきよしくん。いわゆるポップス系のアルバムや
きよしくんが今歌いたい歌のアルバムの登場もそろそろあって
欲しい…デビュー7年目に向け、様々な期待が膨らむ一枚でも
ありました。
歌の素晴らしさ、努力することの素晴らしさ、そして
生きることの素晴らしさをいつも再認識させてくれるきよしくん、
本当にありがとう。