サルマタというあだ名のついた教師の家に下宿していた別の先生のあだ名が、オチンだなんて!
ただね、ただ、なんとなくものさびしいのはなんざんしょ。アチラのほうのお話が、とんとないせいなのか、どうなのか。夕焼け空をみている少年の郷愁がひしひしと伝わってきたりして。少年老いやすく、ぼやき多し、といったところか。まあぼやかしたら日本一だからね。
あるとき、二時間近くの独り語りの舞台のあと、めずらしく数人の男子高校生の楽屋訪問を受けた。観劇のマナーもよかったのでその気になって、すこぶる機嫌よく話をし、名入りの手拭いなど渡した。三本しかないのでジャンケンをさせた、というところがいかにも小沢さんらしいや。帰りがけに高校生のひとりが靴をはきながら「母がファンです」という。「そうかい、じゃ、オッカサンによろしくね」と応えてしまったというオハナシ。これにはニヤリとさせられましたね。オッカサンていったって、そんじょそこらのオッカサンじゃないんだから。
ああ、タネあかしをしたい、喉もとまで出かかっている。だけど、ムム、やはり、ここは昭一ッさんの話術じゃなきゃだめよ。商売ジャマしちゃわるいって。