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あたく史外伝 (新潮文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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小沢昭一さんの洒脱さと粋なところが好きです。 ★★★★☆
悪びれない、飾らない、それでいて茶目っ気たっぷりで味を好む芸人・小沢昭一さんの、過去と現在がないまぜになったエッセイです。
ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」の語り口そのままの文章で、すいすいと語りかけてくるように読め、読了まであっと言う間でした。
ご存じない方は、小沢さんの出演作品などを見てからお読みになることをお勧め致します。
少年老いやすくボヤキ多し ★★★★☆
 あのサービス精神旺盛な小沢昭一が書くものならおもしろいはず、という期待に応えるのも、正直、つらくなってるんじゃありませんか。いやいや、そんなことはない。少年時代はもとより俳優座養成所時代の話など、たぶん方々でさんざんしゃべり散らしているネタだと思われるが、落語をきくようなもんで、やっぱり楽しませてくれます。

 サルマタというあだ名のついた教師の家に下宿していた別の先生のあだ名が、オチンだなんて!

 ただね、ただ、なんとなくものさびしいのはなんざんしょ。アチラのほうのお話が、とんとないせいなのか、どうなのか。夕焼け空をみている少年の郷愁がひしひしと伝わってきたりして。少年老いやすく、ぼやき多し、といったところか。まあぼやかしたら日本一だからね。

あるとき、二時間近くの独り語りの舞台のあと、めずらしく数人の男子高校生の楽屋訪問を受けた。観劇のマナーもよかったのでその気になって、すこぶる機嫌よく話をし、名入りの手拭いなど渡した。三本しかないのでジャンケンをさせた、というところがいかにも小沢さんらしいや。帰りがけに高校生のひとりが靴をはきながら「母がファンです」という。「そうかい、じゃ、オッカサンによろしくね」と応えてしまったというオハナシ。これにはニヤリとさせられましたね。オッカサンていったって、そんじょそこらのオッカサンじゃないんだから。

 ああ、タネあかしをしたい、喉もとまで出かかっている。だけど、ムム、やはり、ここは昭一ッさんの話術じゃなきゃだめよ。商売ジャマしちゃわるいって。

あたく史外伝 ★★★★☆
 人生の節目に遭遇、体験した著者自身の思い出を独自の語り口でつづる短編集。どれをとっても愉快な気持ちにさせてくれる。なかにはちょっぴり切ないものもあり、著者の語り口とその視点の非凡さが冴えわたっている。昭和初期の「小沢昭一少年」が経験した数々の愉快な話などは特に印象深い。約半世紀ものわずかな昔に、「少年」が少年らしくあることができた時代があったことを羨ましい。読むにつれ、小沢少年の体験は決して特別な出来事ではなく、ごく日常的なものだったことがわかる。「少年」を育てた社会のおおらかさを感じる。
 ご本人の意思とはかかわらず、著者の書物や語りには、今や「語り部」の役割もそなわってしまっているようにも思える。愉快で爽快な気持ちにさせてくれる著者の最新本。