人それぞれ自分の好きな句を選んでみませんか
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季語による『歳時記』形式で名句を選ぶのではなく、観点を広くして、キーワード中心に名句を選んでいるのが本書。
【手足】蛍火手首ほそしと掴まれし 正木ゆう子
【親子】鰯雲子は消ゴムで母を消す 平井 照敏
【生きる】地の涯に幸せありと来しが雪 細谷 源二
【恋】きみ嫁けり遠き一つの訃に似たり 高柳 重信
【怒り】脱ぎ捨てて外套の肩なほ怒り 福永 耕二
【学校】入学の吾子人前に押し出だす 石川 桂郎
【部屋】誕生も死も花冷えの寝間ひとつ 福田甲子雄
【名前】花よりも勿忘草といふ名摘む 粟津松彩子
【くらし】菜の花といふ平凡を愛しけり 富安 風生
【地名】ここは信濃唇もて霧の灯を数ふ 加倉井秋を
【死】万緑や死は一弾を以て足る 上田五千石