待ってました!!
★★★★★
前巻「沽券」で真鶴へ行っていた幹次郎が江戸へ帰ってきた。
帰ったばかりのその夜、謎の刺客に襲われる。それは新たな吉原の敵出現の瞬間だった。
吉原帰りの武家が辻斬りにあって殺される。その犯人とは。
久々に江戸に帰った幹次郎を妻の汀女ばかりか、薄墨太夫も心待ちにしている。
汀女への幹次郎の思いは二人で手に手を取って故郷を出た日から少しも変わっていない。
薄墨もそれを承知しながら、幹次郎に惹かれていく己を止めることが出来ない。
今回は吉原に入ったときに捨てたはずの自分の名を明かす。
それは、幹次郎に自分の気持ちを素直にうち明けられない薄墨のせめてもの告白だったのかもしれない。
佐伯泰秀先生の描くチャンバラシーンも好きだけれど、
薄墨や汀女の複雑な思いといった切ないシーンも大好き。
薄墨太夫にも幸せになってほしいと思う反面、
幹次郎にはいつまでも「姉様が一番好きじゃあ」と言ってて欲しいなぁ。
読者のわがままですが、佐伯先生、うまく何とかしてあげてください。