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ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

価格: ¥1,000
カテゴリ: CD
ブランド: ユニバーサル ミュージック クラシック
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大胆にしてピタッと決まる名人芸 ★★★★★
2009年2月。「アメリカの魂」である自動車産業のビッグ3が、政府の公的資金を要求している。その象徴的な都市、デトロイトのオーケストラとポール・パレーが奏でるドビュッシー。
演奏は1955年と61年、デトロイトの録音である。

パレーの演奏は、印象派の曖昧模糊とは完全に無縁。
まず、明晰極まりない『牧神の午後の前奏曲』が美しい。デュトワやマルティノンなどいろいろな名演はあろうが、このパリッとした響き、濁りのない響き、まことにパレーの名人芸だ。昔の指揮者は凄かったのだなあ!!!

『海』も同曲最高の演奏に数えられよう。言葉はむなしい。褒め言葉は『牧神』と同じだ。明晰なリアルな響きなのに、リアルになり過ぎないというか、即物的ではない。第1曲など、夜が明けて、太陽が昇ってくるシーンが、パリッとした音のドラマとして大胆に描かれる。強引のようにみえてさにあらず。ピタッとはまっているのだ。詩情というのとも違う。パレーはなるほどフランス人だが、そういう「お国物芸」を大して信じない評者は、これは天才と言うしかない。第3曲の「風と海のダイアローグ」も、どこか人知を超えた厳しさが漂う。それが神秘化を通してではなく、即物的な音として現われているから不思議と言えば不思議。
現代の指揮者にも似たような演奏はあるが、こうは響かない。

同じことは『夜想曲』でも言える。第2曲「祭り」の強く柔軟なリズムと響き、「シレーヌ」のナイーヴにならない直截性! 女声合唱のゾンザイなくらいの大胆さ!!! それが一層作品を生かす。閃光のような金管も見事であり、少しも機械的にならない。

『イベリア』もまた名演。第1曲、3曲は大胆にして直截的でしかもピタッと決まる至芸。第2曲「夜の香り」がまた絶品だ。これまた曖昧さはないが、ザワザワと夜の冷気が忍んで来そうであり、甘やかなニュアンスが挿入される様には、唸らされる。

パレーに較べれば、多くの演奏が2流である。マーキュリーの録音も実によい。