小坂明子の「あなた」は大ミリオンセラーになりましたし、彼女と同じ年の私は、成人式の日に彼女のステージを鑑賞したのを覚えています。
特に思い出に残る曲は、もとまろが歌う「サルビアの花」ですね。
もとまろは当時、青山学院大と短大に在学中の3人の女子大生グループで、ヤマハポピュラーソングコンテスト(1971年第3回作曲コンクール入賞曲)をきっかけにデビューを果たしました。
もとまろの歌唱はとても哀愁があり、泣きそうなくらいに切ない歌詞を淡々と歌います。フォーク全盛時代の曲ですが、そのメッセージ性が当時の若者には受け入れられたわけです。大学紛争を経ても何も変らなかった1970年前半の社会の閉塞情勢とも関係があると思います。
この歌詞の中の「偽りの花嫁」や「教会」のシチュエーションは、有名な映画「卒業」を連想させますが、残念ながらダスティ・ホフマンのように花嫁を抱えて逃げずに、「サルビアの花」の主人公は花ふぶきの中を転びながら泣きながら追いかけるわけで、現実にはそうなるのでしょうね。
あれから30年以上経ちました。「サルビアの花」を覚えている人も少なくなりました。
ただ、青春時代特有の甘酸っぱい思い出を彷彿とするようなこの曲は「エヴァー・グリーン」の輝きを今も放っています。