深いです。
★★★★☆
花村萬月の文章と今井トゥーンズの絵のコラボレーションにより、現代の絵巻物というコンセプトで作られている。星四つにしたのは、今井氏の絵がとても緻密なのでもっと大きな画面で見たかった、というところ。これだけ凝っているので、かかるコストと本の値段の関係で難しかったのだろうが。
しかし花村氏の文章はいつもながら光っている。内容も一見単純なSF物のようでいて、深い宗教に対する考察にみちている。花村氏ならではの欺瞞や独善とはかけ離れた独自の宗教観。汚物や悪を描きながらもとても美しい、花村氏にしか書けない小説であろう。