2001
★★★★★
思えば『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のサントラ盤が伏線だった。映画の内容ばかりが騒がれていたけれど、あのアルバムはオヴァルやキッド606といった当時のヨーロッパのエレクトロニカ系からの影響を強く受けた、明らかに次への予告編ともいえる作品。だから、この作品が、ストイックな電子音で彩られているらしいという話を聞いてもことさら驚くこともなかった。
しかし、こうして届いた音を聴いてみれば、やはりその構築力の素晴らしさに舌を巻く。そして、それ以上に制作メソッドを感じさせない美しさにも。電子音と聞いてピコピコした打ち込みの音を想像する方も多いだろうが、ここで聴けるのはまるで天国の風景を音で描いたような幽玄の世界。ただただ、美しく、気高い。先行シングルでもある1はイギリス人クリエイターのマシュー・ハーバートがリズムを、サンフランシスコの2人組マトモスがパルス・ノイズを手がけており、以降の曲はデンマークのクリエイター、オピエイトが素材提供をしているけれど、基本的なプロダクションはビョークとガイ・シグスワース。オヴァルのサンプリング使用も含め、その計算され尽くされたプロダクションは見事のひと言だ。けれど、ニューヨーク在住のジーナ・パーキンスによる瑞々しいハープ演奏と、特注で作らせたというオルゴールの音色、そしてビョークの浮世離れしたボーカルがこうした創作過程をバラバラにして昇華させてしまう。そして、本作がやはりどうしようもなくポップであることに、私は泣くほど感動してしまうのだ。
紛れもない傑作
★★★★★
この作品は本当に素晴らしい。
何かの雑誌でビョーク本人が『水晶のようなアルバム』と表現していたが、
実に的確な表現であると思う。
透明感があると同時に無機質な、水晶のような音がひしめく中で、
ビョークが振り絞る声が『生』を主張し、訴えているような印象を覚えた。
最初から最後まで心に響く楽曲揃い。
この作品にステレオのスキップボタンは必要ない。
きてるね
★★★★☆
前作品までのポップスの曲調も好きだったけど、これもいいね。
なんていうか、何かに書いてあったけど、音の結晶って表現がぴったしの作品。
ビョークの声、そしてちりばめられた音の競演に神々しささえ覚える。
天才ビョーク
★★★★★
人間離れしたビョークの天才がほとばしり溢れかえる驚異のアルバム。もはや何も言うことはない。天上の光と闇の鬼火を凝縮し封じ込めたような楽曲の数々は、これまでにもまして繊細、かつ夢幻的である。前作「ホモジェニック」あたりから顕著になってきた彼方なるものへの憧憬がついに全開となり、妖しくも神々しい陶酔と法悦の世界がアルバム全篇に渡って繰り広げられている。大音量のエレクトロニクスではなく微少な音に興味を引かれるようになったというビョーク、このアルバムの中では雪を踏みしめる音、衣擦れの音、オルゴールの音、それから聖歌隊のコーラス、ハープ、更にエレクトロニクスのノイズ等を寄木細工のように組み合わせ、繊細な雪の結晶のような類を見ない音楽を創造している。まさに変化自在の音のつづれ織り、そしてその中を妖しく美しく舞い踊るビョークの歌声。常套という言葉からもっとも遠い音楽がここにある。夜の静けさの中で聞くのが似合う音楽だが、決していわゆる癒し系ではない。あらゆる音楽好き必聴。
i like bjork・・・
★★★★★
いま現在生きていることの幸せをBJORKとともに生きていることに感じているひとは私だけではないだろう。ひとことでいって芸術家である。自分が表現したいものを創り出すこと。それは誰も気にすることのない作業だ。彼女が自然体であるという風に言われるゆえんは彼女が自分自身のために音楽を作っているがゆえにである。 前衛も古典も関係ない。大切なのは自分が表現したいものを表現することなのだ。
彼女の音楽から触発されるもの、それは内なる自分の(世界の!)可能性へのきづきである。
このアルバムを聞いてない方はぜひ、聞いてみてください。世界への気づき、アイスランドの女性が作り出した芸術のひとつの形というものを感じることができるでしょう。