さらば、トラブル・バスターよ!
★★★★☆
景山民夫急逝の為、本書がテレビ業界を舞台にしたハードボイルド小説「トラブル・バスター」シリーズの最終巻となってしまった。1、2作目は短篇集で、版元が角川書店から徳間書店に移った3冊目からは長篇である。前作に引き続き今回もエラ・フィッツジェラルドが歌うジャズ・ナンバーからタイトルがとられている。長篇小説にするための細工なのか今回も主人公に相棒がつく。70歳の武術に精通した品の良いおばあさんとイギリスの足が短い牧羊犬。1冊目から読んでいると「あぁ」と思わせるような懐かしい人、エピソードがさりげなく盛り込まれていて面白い。長篇になると田所「バカヤロー」局長との絡みが少なくなってしまうのが哀しいので、また短篇を読みたいけれど、景山民夫はもう、いない。寂しい。合掌。