山中さんらしいピアノが聴けたので満足しています
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久しぶりにファンである山中さんのCD聴いて見たいと思い、Amazonでいろいろ見ていましたところ、
”オスカー・ピータンへのオマージュ”というこのCD見つけました。オスカー・ピーターソン
が以前に来日したときにLIVEを聴きに行った事も縁だと思い、このCDを購入しました。
ピアノ・ギター・ベースという編成もおもしろいという印象を受けました。
"ALL OF ME"はテンポ良く、ベースやギターが気持ちよくピアノを絡んでいて少し意表を突かれた感じです。
オマージュ(とくに追悼盤)ですと、その方に近い演奏や少々暗く重たい感じのイメージ先入観で持っていたのですが、
テンポの良い山中さんらしい曲になっていて良かったうよう思います。
4曲目の"YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO"は、好きな曲なのです。最初はギターがメロディーを弾き、
山中さんのピアノがサポートする。私がこのCDを聴いた中では印象的でした。
8曲目の"EVERYTHING HAPPENS TO ME"は重くピアノの余韻を残して終わっているので追悼という思いを、
強く出したのかなっと勝手に解釈してみました。
ひさしぶりに、山中さんらしいピアノが聴けたので満足しています。
BRAVO!!!
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これはステキなアルバムでした。山中千尋を澤野工房レーベル時代からずっと聞いていますが、このようなご機嫌なスタンダード・ナンバーを吹きこんでくれた契機がオスカー・ピーターソンの逝去というわけですから、何とも複雑な心境です。
御存知のように、巨匠オスカー・ピーターソンは、2007年12月23日に亡くなりました。1925年生まれですから82歳ですか。ジャズ・メンとしては天寿でしたが、そのピーターソンへのオマージュとして、これらの8曲はどれも珠玉の演奏でした。ドラムレスのピアノ・トリオ、すなわちエレキギターとベースという組み合わせが粋で、当時のサウンドを彷彿とさせるものです。
山中千尋の見事なスウィング感溢れる演奏というのも収穫でした。ピーターソンばりのテクニックも披露していますが、なにより、現代のニューヨークのジャズテイストを残しながら、トリビュート・アルバムとしてピーターソン・ファンも納得させるオールド・ファッション・サウンドも演奏できるという巧みさを披露しています。
当初は、全く別の企画で吹きこむ予定を変更してこれに臨んだようで、収録日が2007年12月30日と2008年1月3日ですから、ピーターソンの訃報に接してから1週間か10日で仕上げたというのも驚きです。短期間の準備にも関わらずエレキギターのアヴィ・ロスバード、ベースの脇義典も好演で、非常に息のあった所を聞かせてくれます。
どの曲も有名なスタンダード・ナンバーですから、ジャズ・ファンには様々な演奏に接していると思われます。気をてらったものではなく、ごく自然に流れるかのごとく心地よい演奏が続きます。全ての演奏が高水準でした。
コルトレーンの『バラード』のように、ピーターソンの『プリーズ・リクエスト』のように、山中千尋の愛すべきアルバムとして評価されることを期待しています。とても良かったです。
日本の最高の女性ピアニストによる最高の作品
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最近、日本の女性ピアニストが数多く活躍して大変喜ばしいかぎりですが、その中で、山中千尋さんは傑出していると思います。その演奏は、やさしい面、エネルギッシュな面、繊細な面、リズミカルな面、コミカルな面など色々な魅力を持ち合わせ、さらにテクニックも超一流です。このアルバムは、この人はこういう演奏もできるのだ、ととても感心させられ感激した作品です。ドラムレスのギタートリオという、初期のピーターソントリオの編成にして取り組んだところが、第一に成功したポイントと思います。最初のAll of Meは、テーマが単音で原曲を殆ど崩さないシンプルな演奏で始まり、テーマの後のブレークでびっくりする連続音、そしてこれも単音中心の非常にリズミカルなアドリブに入ります。ギターのバックのきざみやソロもいいです。特にエンディングのギターのコミカルなフレーズには微笑んでしまします。There will never be another youでは、一転してコード奏法主体ですが、この和音の流れがなんとも温かみがあって心地よいです。Confirmationは、スリリングな演奏で脱帽。その他、You'd be so nice to come home toやOver the raibowもそれぞれ魅力的な仕上がりです。私のお気に入りのアルバムとなりました。
ビジネスライクな録音かもしれませんが
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昨年、逝去されたオスカー・ピーターソンに対するオマージュなのだそうですが、これまでの山中千尋さんのCD録音からすると、オスカー・ピーターソンと言われてもピンと来ない、違和感が大きい人が多いのではないでしょうか?
山中さんがピーターソンからどのように影響を受け、学んだのかは、ジャズライフ誌4月号のインタビューをお読みいただくとして、それを読んだ後でこのCDを聴いても、やっぱりピンと来ないかもしれません。
ちなみに、山中さんはジャズライフ2007年12月号より、偶数月号で「ジャズドリル」という連載記事を担当されており、ファン必読ですが、4月号はこちらもピーターソンを取り上げてます。とっても勉強家である山中さんの真面目さが際立っている記事です。
どこがオマージュなのか私にはよく分かりませんが、まあ、イリアーヌのビル・エヴァンストリビュートだって、外形的な演奏としては違和感大だし、演奏家というのは、もっと奥深いところでつながっているのでしょう。
さて、オマージュのせいかどうかはともかく、このCDは、選曲が今までの山中さんからするとあり得ない通俗名曲を揃えているのが特徴です。
All of Me ,There Will Never Be Another You, Confirmation, You'd Be So Nice To Come Home To, All The Things You Are, Over the Rainbow, Everything Happens To Me等、
MAYAのヴォーカルや矢野沙織カルテット等でもよく聴くスタンダードの数々。
しかしこれが、あっさりしていてなかなか良いんです。もちろん、いつもの山中さんの表現主義的?演奏も良いですが、これはこれでラクに楽しめる貴重品です。
山中さんとしては、ヤッツケ仕事でビジネスライクに録音したのかもしれません。
ソロをギターに委ねて、バックに徹しているときなど、もうちょっと前に出てガンガン弾いてほしいと思いますけれども、ドラムスなしベースとギターとアコースティックピアノのトリオで淡々と進行していく演奏の中で、随所に、ハッとさせる美しさがあります。
お酒でも飲みながらイージーに聴いたり、通勤の電車の中で疲れを癒すのに適した貴重なCD録音だと思います。
表ジャケットの山中さんの写真は素晴らしく美しい仕上がり。ぜひ、ライブの後に銀色のサインペン等でサインしてもらうと良いでしょう。
山中節健在!
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前作アビスの感じとは違って、今回はやや普通の感じがします。
とは言っても趣きが普通なだけで山中節は健在です。
いろいろな演奏が楽しめますのでお勧めです。