文房具好きのあこがれ
★★★★☆
タイトルと作者からわかるとおり、「文房具の便利な使い方」を書いた本ではない。
必要だから買うのではなく、買うから買う。
同じモノをたくさん持っていてもいくつも買う。
明らかに無駄だけど買う。なぜか?
その答えはすぐにわかる。
黒いケント紙の上に置かれ自然光で撮影された美しい文房具たち。
外国製品、特にヨーロッパ系を中心にデザインに優れた文房具がたくさん。
そう、たくさんあるから文房具たち、なのである。
そして文房具の写真が、この本の大きな魅力のひとつであり、もうひとつは片岡義男の「説明」文。
どこを切り取ってもそのまま小説になってしまいそうなほど、写真と同様に洗練されている。
文房具好きなら一度はやってみたいことがここにある。
残念なのは、本の構成上しかたないことであるが、文章と写真の配置と順番が今ひとつなところ。
あっちのページを見たりこっちのページに戻ったり、少々面倒。なので、星4つ。
大人買いを正当化したいあなたに。
★★★☆☆
身近な実用品を中心に、文房具をつい買ってしまう心理が巧みに表現されています。
文房具ファンでなくとも、収集癖のある人なら共感できる内容だと思います。
箱買いした文具をディスプレイして、形や色をニヤニヤ楽しむ、というのもおつなもの。
前作「文房具を買いに」と基本スタイルは同じです。
写真で取り上げていない文房具も多くあったので、私はもう少し写真が多くてもいいと思いました。
眺めて良し、深読みして良し
★★★★★
文房具が好きな私は、結果的に全く使っていない文房具がゴロゴロとあるのですが、氏は到底使いきれないということを十分承知の上で、「買うために買う」とか「箱が美しいからペイパークリップを箱買いする」とか読んでいてとても爽快でした。「誘ってやまない」とか「そそのかす」など独特の表現に読む側の心もそそのかされる。前作「文房具を買いに」では紹介される文房具の説明はもっとあったような気がしますが、今作では文房具の説明よりも、どうそそのかされたかに重きを置いているようです。そういう意味でなかなかラディカル。写真は素晴らしく眺めて良し、深読みして良し。楽しいひとときが過ごせます。