本書は歴史書ではなくノンフィクション・ノベルと銘打っている
★★★★☆
本書は歴史書ではなくノンフィクション・ノベルと銘打っている。
西郷隆盛の征韓論をもってしか語られることの少ない明治初頭の日韓関係史を
小説の形で綴る。明治維新を迎え金なだ以下にひら走る日本、一方その頃
半島は李氏朝鮮の再末期にあたり、大鑑帝国を名乗ったものの旧態依然たる
封建国家であった。
半島と日本で平和裏に行われてきた、朝鮮通信使の往来も途絶えていたその頃、
日本、ロシア、旧宗主国、清に囲まれた半島は歴史の大波に飲み込まれてゆく。
本書は、日本半島どちらにも偏ることのない歴史観に貫かれている。
李氏朝鮮の崩壊過程であるが
★★★★☆
日本国情を分析する上でも面白い内容。
日清戦争や日露戦争を本質的に理解するためには
本書は必読書。
加えて、イザベラバードの朝鮮奥地紀行を平行して読むと
日朝問題だけでなく、なぜ日本が満州の支配を目指そうとしたのかも
分かってきます。
卒業論文くらいは書けるでしょう。
ただ、李方子さんの氏を以て、李朝滅亡とする終わり方は、
いささか短絡的に感じるところです。
亡国ということはこういうことか
★★★★☆
恥ずかしいことながら、
すぐお隣の韓国・朝鮮の歴史、それも近現在史の詳細を知らなかった。
この本は、明治維新後の日朝の歴史を、日本という国と日本人が
韓国・朝鮮でいったい何をしてきたのかを教えてくれる。
中国、ロシア、日本という強国に囲まれた国力乏しい李氏朝鮮。
民族の誇りを持つ人たちの生き様が丁寧に書かれている。
読み進むうち幾度、目頭が熱くなっただろうか。
愛国者金玉均、伊藤博文を暗殺した安重根、朝鮮のジャンヌ・ダルクと称えられる
16歳で殺された女性独立活動家柳寛順等々。
あの過ぎ去った時代を様ざまな角度からもう一度見直してみるためにも、
本書をお薦めしたい。
中国や韓国の日本に対する気持ちを推し量ることができる
★★☆☆☆
日本が明治維新後、韓国に対して開国を求めてから
1945年に日本製敗戦に至るまでの抗日の記録とも言うべき本だ。
石川韓国料理になりすぎているきらいがあるが、
大方の韓国人の抱いている戦前の歴史観とは、
ほぼ一致しているだろう。
確かに、日本は「脱亜入欧」を合言葉に、アジアを軽視し、
欧米を尊重する行動を取っていた。
日露戦争に至るまで、日本は不平等条約や欧米諸国との外交折衝に、
苦慮していたが、その千分の一ほどの配慮すら、
中国や朝鮮に払わなかった。しかし、中国にしろ、
朝鮮にしろ、西洋的な先端技術でこそ遅れを取っていたが、
長い歴史を持つ文明国であり、欧米諸国が植民地としていた
発展途上国と事情が違う。だからこそ途切れることなく独立を求め、
日本政府を悩ませ続けた。
筆者の考えに必ずしも賛成するものではないが、
この本を読めば中国や韓国の日本に対する気持ちを
推し量ることができるかもしれない。