「夜色の愛につつまれて」に続くハサウェイシリーズ、第２弾、
実はあまり期待しないで読みましたが、前作よりもハマりました。

ウィンとメリペンとのお互いに激しく惹かれあいながらも、
相手も思いやる気持ちが、逆にお互いを遠ざけてしまうというせつなさもいいのですが、
なにより脇役の魅力も満載です。

特に、今回はレオの絶妙な一言が最高！！
前回はだめっぷりが際立ったレオですが、本作では憎いくらいいい味だしてます。
次回作には、ぜひレオとミス・マークスの恋模様？が読めるのではと期待しています。

本シリーズを読む前に、「壁の花」４部作を読んでおくとさらに楽しめます。
ちなみに本作に登場するハント夫妻の物語は「ひそやかな初夏の夜の」で読めます。

しかしクレイパス、本当にすごい。
読んでいる間は、仕事をしているときも、運転をしているときも、
ふとクレイパスの世界がよぎるんですね。続きがどうしても気になってしまうんです。
そして先が気になって読み進めていきたいのに、読み終わりが近づいてくるのがさみしくて、
「もっともっと読んでいたい」と感じてしまう。
読み終わった後の余韻も続くんですよね。
また愛着を持った登場人物が、１冊かぎりで終わることなく登場してくれるのも
ファンにとっては嬉しい限りなのです。

色々なヒストリカルロマンスを読んでいても、やっぱりクレイパスは別格です。
恋愛模様はもとより、舞台になる美しい風景の描写、社会背景などが
大変繊細に細かく書かれていて、上質な映画を見ているかのような満足感があるのです。
ここまでの満足感は、私はクレイパス以上に感じる作家は今のところ国内外においていません。

と、「夜明けの色を紡いで」のレビューというよりはクレイパス絶賛のレビューになってしまいましたが、
ぜひ多くの方にクレイパスの美しくウィットにとんだ世界に浸ってほしいです。

「夜色の愛につつまれて」に続くハサウェイ家シリーズ第2弾。前作を読んでからずっと翻訳を心待ちにしていました。ロマの青年ケヴとハサウェイ家次女ウィンの切ない想いに胸を打たれます。前作では洗練されたキャムに比べ粗野さばかりが目に付いたケヴですが、今回はロマの野性味とガッジョとしての有能さを遺憾なく発揮しています。そしてヒロインのウィン。私の中ではクレイパス作品中最も素晴らしいヒロインです。身分違いの恋でも同作者の「もう一度あなたを」はヒロインがヒーローを拒む理由にいまいち共感できなかったのですが、本作の美しく一途にケヴを想うウィンは魅力的です。さらに意外だったのが、ハサウェイ家長兄レオのシニカルな魅力。傷心の前作ではあまり見せ場のなかった彼が、今回は妹思いのお兄さんらしさと英国人のユーモアを随所に見せてくれます。ウィンと同行してきたドクター・ハーロウにケヴが殴りかかり、レオとキャムが仲裁に入るシーンは大笑いしました。今まで読んだクレイパス作品の中で最高に面白いです。ぜひともご一読をお勧めします。