個人的には、宮崎さんの作品を読み解くには、純粋に思想面から切り込むよりも、氏が影響を受けたと公言している『照葉樹林文化』等、様々な視野から考察する必要があると思う。氏は網羅的な人だと思うからだ。
そう言う意味では、著者は『もののけ姫』を考察の対象に入れるべきであったと思うし、同作品を落としたのは、考察の上でかなりイタいと思う。少なくとも、漫画版『ナウシカ』は、その延長線上にあると言えるであろう『もののけ姫』と併せて考察するべきだと思う。
結論として、著者の視点はあまりに固定化していて、柔軟性を持たないように思われる。
宮崎さんが『千と千尋』を、千尋の視点によって描いたように、著者には、宮崎さんの視点に立って、彼の世界を見つめることを進めたい。
誰かを「読む」というのは、そういうことであろう。
私は特にトトロの部分の論述が心に残ってるんですけど、ちょっとそれはないだろうって思ってしまいました。つじつまは合ってるんですけどね。
夢を壊したくない人にはあまりお勧め出来ません。