生きる姿勢を正される思いがいたしました。
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山岡鉄舟直筆の随想集に勝海舟が注釈を付けた書籍です。
漢文を書き下し文にしたもので、漢文特有の感情過多の表現もありますが、剣の達人の文章にふさわしく凛とした風情があります。
このような書き物を残すことなど禅に親しんだご当人の意中には皆無であったかもしれません。
それが今日まで残り、読むことができるということは鉄舟を親しく知ることを望む者にとってはありがたいことといえます。
島津書房から復刊された『おれの師匠』とともに読むことをお勧めいたします。『おれの師匠』は、「春風館」道場の側近ともいえる鉄舟の弟子、小倉鉄樹老人の口伝ですが、それと併せて読む時に、鉄舟の人間としてのスケールの大きさ、振幅の広がりがさらによくわかり唸らされることと思います。
どちらからも生きる姿勢を正される思いがいたしました。