ミシュレのジャンヌ。
★★★☆☆
かの歴史家ミシュレが書いたジャンヌ・ダルク。
「彼女はその信仰を、一つの学課、一つの儀式としてでなく、
夜の団らんの時の美しい昔話のような、庶民的で素朴な形で
母親の純朴な信仰として受け取った。
このように我々が血と乳とをもって受け取るものは、
生き生きとしたものであり、生そのものなのである」
「一方において土地は、彼女にまったく異なった詩を与えた。
それは野蛮で、残虐で、あまりにも現実的な、ああ、それは戦争の詩なのだ。
戦争。この言葉であらゆる感情が言い尽くされている」
こうしたトーンで書き進められていく一フランス人女性の物語。
本文140ページ、その後に独特で興味深い作者原注が50ページ弱続く。
さらに訳注が60ページ。最後に関連年表と訳者あとがき。
乙女 ジャンヌ
★★★★☆
ジャンヌダルク。名前は知っているけどよく知らなかった。ミシュレ著フランス史からの抜粋のようで140ページ強とその他多くの解説ページ。解説過多。この本でもミシュレのイギリス嫌いが良く出てくる。さて、この本は前半の戦いのシーンよりも後半の裁判のシーンが重要であろう。いかに品格を保つことが人生に置いて大切なことか、教えられることは多い。古い本だが訳がまた品があって好きだ。ジャンヌがそうのようにしゃべった、そうだろうし、そうだと信じたいほど私にとっては素敵な訳であった。15世紀の出来事なのによく記録がしっかりしていたと感心する。生家まで写真で紹介されている。フランス人にとって大切な人だったんだろう、今でもそうかも知れない。宗教裁判で異端とされたが20世紀に法王の名の下に復権し聖女となった。なんとも大切な人だったのだろうか。