1995年結成の福岡出身男女4人組ガレージパンクバンド、ナンバーガールの3rdアルバムは、ジェーンズ・アディクション、マーキュリー・レヴや、グループのシングル(「ディストラクション・ベイビー」、「URBAN GUITAR SAYONARA」)を手がけた、デイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えてアメリカ録音を敢行。
向井秀徳の絶叫から始まり、民謡風メロディやメタリックなドラムが重なる<1>、切り裂くようなギターカッティングや、現代社会=<冷凍都市>の風刺が強烈な第6弾シングル<3>など、刺激的なサウンドを繰り広げる。(宮原亜矢)
とある一つのバンドの極み
★★★★★
初めて聴いたのは高校生のとき。
手をつけた理由は「椎名林檎がナンバーガールを好きだと言っていたから」というミーハーな理由。
1曲目の聴いたこともない衝撃的な始まり、突き刺すような音、暴力的な声。
当時、「真昼間ガール」の女子高校生だった自分には、このサウンドが非常に血生臭く感じられて、気分が悪くなりかけた。
NUM-AMI-DABUTZとCIBICCOさん だけMDに入れて、あとはしばらく存在も忘れていた。
「真昼間ガール」も卒業して、ただの若者になったとある夏、急にあの狂った音が聴きたくなって、
思い出したようにCDを引っ張りだした。
当時、血生臭さしか感じなかった音が、
実は非常に美しい和音?で構成されていたこと。
そしてそれは奇跡的なまでにぴったりと調和したバンドの音によって成り立っていたということ。
気付いたら中毒になっていた。
「キワキワの集中力」によって生み出された、一つのバンドの究極の形です。それも崩壊寸前の極み。
お子ちゃまには刺激が強すぎる作品ではないかと。
私の一番お気に入りの曲はdelayed brain。(ギターとキーボード?がたまらん)
初見で比較的聴きやすいのはNUM-AMI-DABUTZ、CIBICCOさん あたりだと思う。
「くだらないポップス100枚聴くぐらいなら、これを聴け」
★★★★★
――というような決まり文句に必ず挙がるであろう一枚。
言うまでもなくNUMBER GIRLの最高傑作。
発売当初、天王寺のHMVで視聴したとき、気付いたら数曲聴き入ってしまっていた。
当然、そのまま購入して帰り、それこそ“レコードが擦り切れるまで”聴きまくった。
10年近く経った今でも、衝動的に聴きたくなって我慢できなくなる。
音楽仲間に貸したら一ヶ月返って来なかった。狂う寸前まで聴いていたそうだ。
僕の音楽の趣味を全否定していた友人に聞かせたら、やっと認めてもらえた。
ヒットチャート系が好きな女の子に勧めたら、もう音楽の話を振ってくれなくなった。
村上龍の小説の中に、持っているレコードで価値のある数枚以外を全部棄てた男がいたが、
僕だったら間違いなくこの一枚が候補に挙がる。傷だらけになったケースがまたイイ感じ。
NUMBER GIRL自体はすでに解散してしまったけど、僕はこれがあれば生きて行けます。
一つの到達点
★★★★★
素晴らしいの一言に尽きる。
ここまで日本独自のエッセンス加えたオルタネイティブロックをしっかりと形にできるバンドは彼ら以外に存在しえないと思う。
このアルバムではまさにnumbergirl的としか言いようのない独自の世界観を作り出し、聴くものを完全に自分たちの世界に引きずり込む
確かに万人に受けるようなアルバムではない、しかしそれこそ本物ロックではないかと私は思う
元来、邦楽ロックシーンはいろんなジャンルを海外から取り込んだり、日本的な解釈を入れこんだりしてきたが、このアルバムこそこの邦楽ロックの一つの到達点だと私は思う。
ロックに少しでも興味がある人や洋楽ロック好きな人にはオススメです。
現代に告ぐ
★★★★★
すごいですね。コレ。何回聴いてもあきません。歌詞カードの影響かもしれませんが全体的に和を感じさせる雰囲気になってると思います。後に向井さんが結成するzazen boysっぽさもありますね。
まとまっていてとても良いと思いますが聴く人を選ぶ気もするので、初めての人は1stか2stかベストを聴いた方がいいと思います。
個人的に2、3、4、6、10がオススメ。
曲幅の広がり
★★★★★
1. NUM-HEAVYMETALLIC
民謡のような「和」の音調を大々的にとりあげた曲。イナザワによる伸びのよいハイトーンボーカルに向井のラップが覆いかぶさってくるあたりが痛快のスローテンポDUB。gtのディレイもいい具合
2. INUZINI
祭りのメロディをギターが奏でる後半のもりあがりと爆発感がたまらん。犬死。サビではあいかわらずのシャウト
3. NUM-AMI-DABUTZ
冷凍都市の暮らしを歌う向井ラップが爆発する曲。もはやZAZENBOYSに近い。変則的なdrプレイや、ラストの田淵gtもクール
4. Tombo The Electric Bloodred
ナンバガ特有のコード感でクールにまた激しく進行していくキラーチューン。キレもよくラストの田淵gtも熱い
5. delayed brain
静の中にも強く感じられる躍動感。個人的にかなり好き。
6. CIBICOさん
PVも作られたこの曲、疾走するBaから直線的に、またリズミカルなGtフレーズが印象的な曲。後半はしっとりと、またgtソロもきれい。
7. MANGA SICK
思春期の妄想恋愛少女を歌ったナンバガらしい曲。一音下げで演奏してるため雰囲気も少し変わってる。drの全編わたっての疾走感がたまらん
といった具合のアルバム。この後に続く曲も個性が強く、キワキワです
初期のような明るさは、もはや感じられません。