本書には、マラドーナのサッカーライフにまつわるほとんどすべてのエピソードがある。貧民街でディフェンダーとしてサッカーを始めた幼少期。わずか2年半で9軍から1軍まで上り詰めたプロデビュー時代。史上最年少でのアルゼンチン代表入り。1979年ワールドユース優勝。W杯スペイン大会初参加。初の海外移籍となるバルセロナ時代。多くの栄冠をもたらしたナポリでのプレー。1986年のW杯優勝。1990年の惜敗とドーピングにより出場停止になった1994年のW杯。その後の復帰から、ボカへ移籍しての引退――。自らの境遇、心境、そしてプレーを振り返りつつ、マラドーナは饒舌(じょうぜつ)にまくしたてる。
さらに、親しい友人や中田英寿を含むサッカー選手100人についてのコメントと、「タイトル、賞、功績」の章、そして日本語版には金子達仁によるあとがき「サッカーが好きで好きでたまらない子供」が収録されている。
とにかく過激である。愛情というよりもはや執着と呼ぶべきサッカーへの思いをはじめ、スーパースターゆえの超ハードスケジュール、相手ディフェンダーのマーク、そしてサッカービジネスを取り巻く権力者への痛烈な批判。何から何まで熱く激しいのだ。
けっきょく、マラドーナはいつも戦っていた。それは常人の域をはるかに超えてしまった天才の宿命なのかもしれない。もしマラドーナが不幸だったとすれば、巨大に膨れ上がったサッカービジネスという人間臭いピッチの中でも、自分自身に正直すぎたからだろう。だが、それが彼の強さでも弱さでもあり、天才たるゆえんだったのだ。ケタはずれの天才の視点とメンタリティーを伝える、実に興味深い1冊である。(齋藤聡海)
チーム、オーナー、ファン、人々の心を掴んだ分だけの愛憎が回りにおこり、誤解、誹謗中傷された。(スーパースターなのに!!)
治安の悪いナポリの街からサッカー見たさに、不良が消えた!!そこまで影響力のあるマラドーナがW杯イタリア大会の時にあんなにも酷い不遇にあい、それでも・・・この本を読んで決勝戦での涙の理由が始めて分かった。
監修である、金子達仁さんの「サッカーが好きで好きでたまらない子供」の表現はマラドーナ好きだからこその表現だと思うし、読み終わると顔がニンマリする一冊だと思う・・・