ノモンハンの戦い
それは、押し寄せるソ連重戦車群に対し、肉弾をもって突撃し全滅していく関東軍兵士達、その教訓を生かせず無謀な太平洋戦争に突入してゆく陸軍指導部達が今までのイメージでした。
ロシア人の著者が、ソビエト、日本側の資料を基に戦場の真実を描こうとした本です。
地上戦それも戦車戦中心で有るが、両軍の人員、装備、損害を詳細な
リストで示されると、人員ではソ連軍の損害が日本軍を上回ることや
戦車装甲車でソ連側に400両近い損害が有る事を見てゆくと日本兵士の勇戦敢闘が目に見えるようだ。
いわゆる火炎瓶が余り効果を上げていない事や、高射機関砲が有力な対戦車兵器であった等興味を引く事も述べられています。
日本側の勝利で有ったと言われてきた航空戦に触れられていない事や
兵士の肉声が実際は殆ど紹介されていない事など不満もありますが、詳細な数字の羅列に真の戦いを読み取る事が出来ます。
また写真は、宣伝色の少ない初出のもの多くこの本の価値を高めています。
結局は、多くの損害を出して得る所の無かった戦いですが、ノモンハン戦の新たな見方を考えさせてくれる良書です。
ノモンハン戦の全貌を描いた本も合わせて読まれるとより理解できると思います。